介護支援専門員の更新制度が廃止されるにもかかわらず、研修受講義務が残される。
資格の更新という概念はなくなるが、ケアマネジャーにとって研修の受講は引き続き必須となるため、厚労省は現在、一定の研修の受講を法令上の義務とする方向で最終調整にあたっている。
ことについて僕は、「それではまったく意味がない」と批判してきた。(参照:厚労省のケアマネ資格更新制廃止を提言は意味がない ・ 欺瞞に満ちた日本介護支援専門員協会の自画自賛)
こうした批判に対して、「研修を受けずに介護支援専門員の仕事を続けて、ケアマネジメントの質が保たれるのか」とか、「一定のスキルを担保するための学習機会を否定して良いのか」といった反論が聴こえてくる。
そうした反論をする人たちは、ケアマネ実務者の業務に影響が大きい、時間と受講場所に制約のある義務研修と、それとは異なる研修機会を分けて考えられていないと思う。
僕は介護支援専門員が日常的に学習機会を得ることを否定しているわけではない。むしろ日常的な学習機会は積極的に求めるべきであるとさえ思う。
現に僕が顧問を務める介護事業者では、毎月実務者の研修として60分講演をオンラインで行っている。そのような方法で、ケアマネ実務者が学びの機会を定期的に持つことは大事であると考えている。
だからと言ってそれが、国が指定する期間において国が定めた内容の研修である必要はない。ケアマネ実務者の時間を削り取り、行動を制限するような研修義務を強制的に課すのはいかがなものかと否定しているのだ。
現行のケアマネ資格更新に必要な研修は、実務経験等に応じて32時間〜88時間の受講義務があるが、最新の情報を伝えるような内容の研修は少ない。講師の中には 長寿社会開発センターの、「居宅サービス作成の手引き」という冊子に書いてあることを読み上げて終わるような講義しかできない人もいる。都道府県が指定する研修といっても、そんなレベルである。

義務研修受講者の中には、そのような研修内容にがっかりして、講義時間の大半を居眠りに費やす人も少なくないが、講師の中には、「眠っていてもいいよ」というような人も存在する。
講師の質も格差も大きいのが実態である。そんな研修を受ける時間は無駄である。
誰が講師を務めるかもわからず、受講者自らが聴きたい講演内容や講師を選べない研修を義務とするのではなく、もっと自由に研修内容な講師を選ぶことができて、ケアマネ実務者の時間も制約しない方法で研修を受けられる方法に発想転換してほしい。
ケアマネ資格更新制度の廃止後に残される新たな研修は、受講時間を短くしたり、オンラインで受講できるようにするなどの変更も検討されているのだろう。
現在5年に一度集中的に受講する研修を、毎年5時間程度の研修受講義務に変更するという不確定情報も流れている。しかしどのような方法に変更しても、国が特定団体に講師を丸投げして行うような利権交じりの研修など、受講する価値がないことに変わりはない。
またJOINTというサイトのこの件に関する報道記事では、「研修を修了しなければ資格を失う現行の制度が撤廃される。」と書かれているが、これは間違った認識だ。現行制度でも更新研修を受けなくとも資格が失効するわけではなく、単にケアマネ実務に就けないだけだ。実務に復帰したい際には改めて更新研修を受ければよいのである・・・ということでJOINTの記事のようなでたらめ解説も飛び交っているので注意が必要だ。
ケアマネジャーの研修機会を確保するのであれば、介護保険施設や居宅介護支援事業所の運営基準を改正して、そこにケアマネ対象の研修を年単位で数回(あるいは数時間)実施する規定を創ればよい。内容もある程度指定できるだろう。
その基準に沿う形で内部研修を行うのか、あるいは外部の研修に参加するのか等を選択できるようにすればよい。
地域によってはそうした研修がないところがあるというかもしれないが、そういう地域では、複数の事業所が共同して研修実施主体となって、外部講師を招聘したり、あるいはその地域介護支援専門員が持ち回りで講師役を務めたりすれば良いのだ。
その方がよほど勉強になるし、ケアマネとしてのスキルアップにもつながるだろう。
国とべったりの団体の利権と化している研修など、義務として受けるのはまっぴらである。
※筆者の講演予定はこちらからご覧ください。講演依頼はあかい花公式Web右上の✉をクリックしてお気軽に相談・お申し込みください。
※別ブログ「masaの血と骨と肉」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。
北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。
・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。
・masaの看取り介護指南本「看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
新刊「きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは」(2021年10月10日発売)をAmazonから取り寄せる方は、こちらをクリックしてください。


感動の完結編。
