昨日(11/20)開催された社保審・介護保険部会で、ついに居宅介護支援費の利用者自己負担導入が提案された。(資料220頁〜25頁参照のこと)

介護保険制度改正を議論する専門家機関において、介護保険制度を主管する厚労省がケアプラン有料化を提案したことは、財政審等で財務省がそれを主張するより重みがあるとして、その実現可能性が高まったと考える関係者も多い。

介護保険部会は年内であと2回開催されると思われるが、今年最後の部会(多分12/22ではないか?)は制度改正の諮問案が示されることになるので、次回12月初旬の介護保険部会では正式にケアプラ有料化が決定される可能性もある。
居宅介護支援費に利用者負担導入
というのも国は一貫して、介護支援専門員の処遇改善・・・特に現行の処遇改善加算の支給対象の蚊帳の外に置かれている居宅介護支援事業所の介護支援専門員(以下、居宅ケアマネと略)の処遇改善については、ケアプラン有料化と紐づけして考えていると云われてきたからである。

昨日更新した記事で書いたように、今年度の補正予算を使った補助金や来年度の臨時の介護報酬改定においては、処遇改善は居宅介護支援事業を含めたすべてのサービスを対象とするように作業が進められている。

その財源の一つとしてケアプラ有料化が提案されているわけである。

逆に言えば、今回のケアプラン有料化の提案〜今後の介護保険部会でその承認が得られることによって、居宅ケアマネを対象とした新たな処遇改善加算の新設などによって、居宅ケアマネの待遇改善も図られる可能性が高まったと云えるのではないだろうか。

だがそれは居宅ケアマネに自己負担分徴収の業務負担増や、負担増を嫌った居宅介護支援の利用控えや滞納金の発生等による居宅介護支援事業所の収益減にもつながる問題だ。諸手を上げて歓迎できる問題ではない。

ところで
資料2の22頁に注目してほしい。ここには、「ケアマネジメントの利用者負担の判断に当たって、利用者の所得状況を勘案する」という考え方が記されている。

これってどういう意味だろうか。そもそも現行の利用者負担は、利用者の所得状況によって負担割合が1割〜3割まで定められている。既に所得状況によって利用者負担割合には差が設けられているのだ。

すると本資料の「所得状況を勘案」とは、それと別な意味であるということになる。であればこの利用者負担は、他のサービスのような定率負担ではなく、例えば一人1.000円/月負担といった定額負担を念頭に置いて、低所得者の割引を導入する形を考えているのではないのだろうか。

この負担案のほか、住宅型有料老人ホームの入居者にのみ居宅介護支援費の利用者負担を求める案や、給付管理業務の実費相当分の利用者負担を求める案が示された。

まったく違った方向から3案が示されているわけであるが、これらはすべて居宅介護支援費に自己負担を導入するための理由付けに過ぎない。本来居宅介護支援費は全額保険給付すべきであるのに(参照:居宅介護支援費に自己負担がない理由)、それを覆すことを国民並びに関係者に納得させる理由を様々な角度からひねり出そうとしているに過ぎない。

よってどの案が採用されたとしても、一旦利用者自己負担が導入されれば、それを橋頭保として最終的には他のサービスと同様の定率負担に変えられていくことは間違いのないところだ。

ところで厚労省はこれらの案について、「委員の意見を聞くために複数のパターンであり、施策の方向性を固めるところまで至っていない」」としている。自己負担導入に対しては反対意見も多数示されており、昨日の議論も平行線をたどったことから流動的部分も多いといえよう・・・つまり昨日の提案が即、決定とはならないことを理解しておく必要がある。

昨日の介護保険部会ではこの他、介護保険サービス利用時に2割負担となる人の対象を拡大した場合、新たに2割負担に該当する人でも、預貯金などの資産が一定の金額未満の場合は1割負担のままにする案を示した。

報道が先行していた訪問・通所サービスの市町村総合事業への移行については、厚労省も見送り方針を明らかにした。

年末までに結論が出るこれらの提案については、水面下でさらに激しい駆け引きが繰り返されることとなり、逆転ホームランもあり得る。

まだまだ予断を許さない状態といえるのではないだろうか。
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