厚生労働省は8日開催された、「精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会」で、強度行動障害の人など治療効果の見込めない人について、将来的には精神科病院での入院対象外とする考えを示した。
これは今後精神科病床が減ることを想定した対策で、入院は急性期の患者か、急性期を越えても早期退院を目指す患者を中心とするとしている。
そのため強度行動障害の人など慢性期に当たる患者の入院については「障害福祉や介護保険のサービスによって地域や施設の対応力を高めることにより適正化していく」とした。
強度行動障害とは、知的障害や自閉症の人の一部にみられる自傷・こだわり・睡眠の乱れ・異食といった行動により特別な配慮が必要な状態を指す。所定の判定基準に基づき24点中10点を超える人が該当する。
これらの方を病院以外で対応するに際して、地域の医療と福祉の組み合わせで強度行動障害の人を支える拠点として、「地域で拠点となる精神科訪問看護事業所」を創設する考えも示した。
地域で拠点となる精神科訪問看護事業所に求める役割としては
(1)24時間対応
(2)措置入院からの退院者を対象とする
(3)医療機関や障害福祉事業所と定期カンファレンスを行う
(4)障害福祉や介護保険の短期入所と連携する
(5)身体合併症のある人の受診支援を行う
以上の5点が挙げられている。対象とする利用者像として、依存症・摂食障害・自殺企図のある人・引きこもりの人が該当するとの意見も上がった。

でもこれって現実的なのか?認知症と強度行動障害はまったく違う症状で、対応の専門性も異なるため、介護サービスで強度行動障害の人を受け入れるには、相当の準備教育を従業員に施す必要がある。
ただでさえ人材不足が叫ばれている介護事業において、さらに対応が難しい強度行動障害の人への対応は可能なのか。
そしてそのことに対する知識を備えてまで働こうとする人が居るだろうか。そう考えたとき、介護事業者の強度行動障害の方々の受け入れは、介護人材を益々減らす原因になりかねないと思う。
そもそもそれらの人は24時間目離しができない人だ。ショートステイで一時的に対応するにも、かなりの介護負担増となり、介護サービスの場で業務負担増は免れないし、かなりの無理が生ずる懸念がぬぐえない。ましてや長期入所には、腰が引ける施設関係者が多いだろう。
医療機関が急性期治療を中心にして、療養の場を暮らしの場に置き換えていく政策については理解できる。それが財源支出を減らす手立てであることも知っている。
だがいきなり、強度行動障害の方々の対応を介護に付け替えるのは乱暴すぎる。まずは強度行動障害の人に対する対応のエビデンスを見つけ出したうえで、その具体的方法論を介護従事者に伝えられる教育システムを構築した段階で、はじめて強度行動障害の人を精神科病院の入院対象から外すというステップを丁寧に踏むべきだと思う。
そうしないと強度行動障害の人や、それらの人の行動によって生ずる様々な問題が、社会の影として地域のどこかに深く根深く隠されていくだけになってしまうのではないだろうか。
それは病床削減施策の負の遺産にしかならないと思う。
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