介護保険制度改正を議論する社保審・介護保険部会の議論は、毎回9月に入って佳境を迎える。

案の定、8日に行われた第124回社会保障審議会介護保険部会では、今回の改正の最大のテーマである地域の類型に応じたサービス提供体制や支援体制を構築するための具体策として、「人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築」が議題として取り上げられた。
地域の類型の考え方
既に来年度予算の概算要求では、訪問介護事業所が存在しないか、あるいは訪問介護サービスの提供が事実上困難な中山間地域・人口減少地域などの既存の通所介護事業所から訪問サービスを提供する補助制度財源要求がされる予定であることは、「新複合型サービスは先行実施か」でお知らせしている。

それに加えて2027年度からの中山間・人口減少地域のサービスの在り方が今回具体的に示されたわけである。

それによると中山間・人口減少地域で、必要な介護サービスの提供体制を維持していくために、人員配置基準を国の基準に縛られずに、自治体が地域の実情を踏まえ独自に定められる、「特別ルール」を設ける提案をしている。

おそらくこの案に沿って、「基準該当サービス」や「離島等相当サービス」のように、国の基準より少ない人員配置でサービス提供がお行われる方向となるのだろう。

またこれらの地域の訪問介護に限った措置として、事業所が出来高報酬と定額報酬(包括評価)を選択できる新たな仕組みの創設が提案された。

人口が少ない地域のサービス利用者も当然のことながら少ないわけであり、移動時間が長く、1日の訪問回数が限られる地域では、急なキャンセルによる機会損失の影響も大きくなるという理由で、収入が利用状況に左右されることがないように定額報酬(包括評価)を選択できるようにするというのである。

これが実現した場合、訪問介護事業者はサービス利用状況を鑑みて、自社にとって利益が高い方の報酬体系を選択するだろう。それによって利用者負担は当然増えることになる。

すると現行でも中山間地加算の自己負担がある中山間・人口減少地域の利用者は、改正後は従前より少ない人員配置の事業者からサービスを受け、なおかつ自己負担額はさらに高くなるということになり、都市部やその他の地域より、サービス利用時の割高感が増す恐れがある。

その為、サービス提供事業者のみならず、当該地域の利用者を担当する居宅ケアマネも、利用者に対してより丁寧な説明が求められてくるだろう。

なおこうした特別ルールを適用する対象地域も明確に定める方針であることも明らかにされた。

また当日の議論では、中山間・人口減少地域では上記の二つの策をとったとしても、サービス需要が縮小し、既存の仕組みだけでは体制の維持が難しくとして、市町村が地域の実情に応じて、介護サービスを、給付に代わる新類型の事業として、介護保険財源を活用して実施できる仕組みを設けることが考えられないか」と提案された。

新事業は、従来の利用者ごとの出来高払いではなく、市町村がサービス提供の対価として事業者に委託費を支払う仕組み。市町村内に十分な事業所が存在しない場合は、周囲の市町村の事業所に委託すること、複数のサービス類型を組み合わせて委託することも想定されるとのこと・・・財源確保に頭を悩ませている自治体が多い状況で、自治体負担が重くなるような新事業が果たして寺可能なのかという問題があり、この提案は簡単には通らないだろう。

だが介護サービス資源を民間サービスだけに任せておれば、市場論理で切り捨てられる地域が出てくるのは当然なので、自治体サービスの在り方として検討する価値は大いにありだ。

今後の議論に注目といったところである。
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