中央最低賃金審議会による地域別最低賃金額改定の目安の答申を受け、政府は8/4に今年度の最低賃金を引き上げる決定をした。

それによると最低賃金の全国平均額は1.118円とされている。ちなみに東京都は1.163円で、僕が住む北海道は1.073円である。いずれも10月から適用されることになる。
最低賃金
このことに関連して昨日、僕が管理する介護福祉情報掲示板に「最低賃金上昇に伴う職員の昇給について」というスレッドが建てられている。

ここでは介護事業者の収入のほとんどは公定価格であり、賃上げ分を価格転嫁できないため、他産業より時給アップが難しい実態が訴えられており、今後どうすべきかという悩みの声が挙げられている。

最低賃金引き上げに対応して、公定価格である介護給付費の引き上げがないということは納得できないし、苦しい事情も分かる。その点については介護報酬の期中改定も含めて、引き上げ分を公費対応すべきと訴えていかなければならない。

だからといって正職員を含めた全体の給与を、最低賃金引き上げの度に変更しなければならない給与体系はどうなのかと思う。それはあまりに低い給与額ではないのだろうか。

僕の経験(過去の社福の経営者としての経験や現在のコンサルタント経験)から言えば、最低賃金の引き上げにより影響を受けるのは、短時間パートの時給くらいでないのかと思う。

それ以外の従業員給与は最低賃金より上回って設定されているので、最低賃金の引き上げで正職員の給料表が影響されるようなことはなかった。さすれば最低賃金が引き上げられるたびに、給料表を引き上げねばならない給与体系そのものを見直さないとならないと感じる。

そもそもそのような給与体系で、この人材難の時代に募集に応募があるのかと首をかしげる。

最悪なのは質問スレッドに書かれているように、その給与体系を引き上げずに、勤務時間を短縮して時給アップを図ろうという手段だ。それをしてしまうと従業員の就労意欲は著しく失われる。何しろ最低賃金が上がっているのに自分の給料はまったく上がらず、勤務時間が短縮される影響は、働く時間が減って楽になるのではなく、働く時間の従業員数が減らされて、業務負担は格段に増えるのだから大問題である。

それでは従業員は定着せず、ますます従業員離れが進み、いずれ廃業せざるを得なくなるだろう。

だからといって現内閣が目標とする5年先に時給1.500円とするなどという話を信じて給与設定する必要はない。当該スレッドにも書いたように、2029年度までに最低賃金を1.500円にするためには、今後毎年7.3%のアップが必要なのだ。それは過去40年以上にわたって一度も達成してことがない数字であり、荒唐無稽といって過言ではない。

おそらく最低賃金1.500円は10年後にも達成する可能性が低い数字だと思う。

ではどのような賃金額を目標とすべきかと考えると、その地域のコンビニ定員の時給が一番参考になるのではないかと思う。コンビニ定員の時給以下であれば人が集まらない。一旦雇用した従業員も、時給が高いコンビニに流れていく。

現に全国老施協の調査では、外国人介護人材の離職理由で「介護以外の職種への転職」が最も多く、過去5年間で52.1%を占めているとしているが、コンビニ定員に転職する外国人介護人材の数はかなり多い。

現在コンビニ定員の募集時の時給は1.200円〜1.300円程度ではないだろうか。よって新しい最低賃金1.118円を目安にするのではなく、1.200円以上を目安にして最低給与ベースを考えていかねばならないと思う。

繰り返しになるが、その際は単に企業努力で給与引き上げ原資を確保するというこ都で終わらせず、公費経営している介護事業者については、最低賃金引き上げ分のベースは確保できる分の公定価格の引き上げが必要であるとし、期中改定を行うように訴えるべきである。

さらに言えば、今政策的に必要なことは、中小企業にダメージを与える最低賃金の引き上げではなく、減税であると云いたい。
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