介護サービス事業は、利用者の日常を護る仕事である。

特別なものを創り出すのではなく、人としての日々の営みに不便や不快が生じないように手を差し伸べる仕事だ。

だからこそ8/4の更新記事、「すごい介護より当たり前の介護を」で解説した通り、良い介護を行う前に、ごく当たり前の日常ケアを繰り返すことが大事であると思う。

それは、「世間の常識が、介護業界の非常識」といわれる状態をなくすためにも求められることだ。

だが当たり前と考える状態にも個人による温度差があることは否定しない。だからこそ基準はあくまでも世間一般の常識に求めてほしいと思うのである。
沈下橋
例えば介護保険施設や居住系施設(GHや特定施設など)での入浴支援・・・入浴支援をどの程度の頻度で行えばよいかということを法令基準に根拠を求めた場合、週2回以上入浴支援を行っておれば運営指導されることもなく、「適正」とされる。

その為多くの施設サービス関係者は、利用者に対して週2回の入浴支援をしておれば問題ないと考えている。

だがこの適正は、果たして常識だろうか・・・。

一昔前は週2回の入浴基準は囚人並み規準と揶揄された。しかし現在の囚人は、下記の入浴回数は週3回とされている。つまり介護保険の運営基準等で定められた入浴回数は囚人並みでさえなく、それより劣悪な基準とも云える。

しかも昨今の日本は気温上昇が顕著で、夏の暑さは異常なほどだ。少し外歩きするだけで全身汗だらけとなる。その汗を一日の終わりに流したいという人は少なくない。高齢者の方々も同様だろう。

現在高齢者介護サービスの顧客の中心層となっている団塊世代の方々の生活習慣を考えてほしい。週2回しか入浴習慣のない人はどれほどなのか・・・多くの団塊世代高齢者は、毎日もしくは1日おきに入浴する習慣を持っている人ではないのだろうか。

そうした習慣を持つ人も、介護保険施設や居住系施設に入所した場合、週2回しか入浴できない暮らしを強いられる。それは我慢を強いられるという意味でしかない。そしてその我慢は死ぬまで続くことになるやもしれないのである。

介護サービス事業が、そのようなに人の希望や喜びを削り取るもので良いのだろうか。僕はそう思わない。

だからこそ施設入所された方々の、日々の暮らしぶりを見渡して、世間の非常識と思える状態が少しでも垣間見えるときは、それを直すために何をすればよいかを考える。

それは利用者の近くで手を差し伸べる、「蟻の目」である介護職員等には見つけらない部分かもしれない。

だから施設長や管理職は高い木の上に昇り、「鷹の目」をもって全体を見渡す必要があるのだ。

そのようにして当たり前レベルを引き上げる先に、介護サービスの品質向上という結果が生まれるのである。
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