僕が大卒で社会福祉法人に就職した当時(1983年)、週休2日制を導入している職場はほんの一握りであった。
僕の勤務先も土曜には半ドンで、週平均勤務時間は44時間とされていた。
だが数年後、社会情勢の変化に伴い完全週休2日制を導入する民間企業が増えたことから、国家公務員もそれに倣うようになった。そして当時の社会福祉法人は、給与のみならず就業規則等も国家公務員準拠していたため、僕の勤めていた法人も土曜が休日となって完全週休2日制・週平均勤務時間は40時間に変更された。
今考えると、それはとても大きな働き方改革と言えるのではなかったかと思う。
ところで日本政府の、「経済財政運営と改革の基本方針2021」によると、多様な働き方の実現に向けた働き方改革の一環として、週休3日制の導入を促している。
その流れに乗って介護事業者でも週休3日制を取り入れるところが現れてきている。
ご存じかと思うが週休3日制といっても、その形態は大きく分けると3類型存在する。
給与減額型は、週の労働時間を40時間から32時間に2割減少し、給与も2割減少するというものだ。
労働時間給与維持型は、週の労働時間は40時間で一日の労働時間を10時間に増やし、給与は維持するというものだ。
給与維持型は、週の労働時間は32時間に減らすが、給与は維持するというものだ。

人材不足が深刻化しているが、経営財源のほとんどが公費で、人件費財源にも制約がある介護事業者の場合は、「労働時間給与維持型」を採用するケースがほとんどである。
週休3日制を導入するといっても、全職員にその働き方を強制するわけではない。週休2日制で働くのか、週休3日制で働くのかを従業員個々の判断で選択できるのが週休3日制導入の基本原則である。
週休3日を選択した介護職員は、早出・日勤・遅出・夜勤といったシフトについて、すべて10時間勤務である。つまり日勤業務は8時間から10時間に増えるけれども、夜勤業務は12時間超から10時間に減るわけである。
そこではどんな変化があるのだろう。週休3日・1日10時間労働制を採用し、それが成功していると云う介護事業者では、以下のようなポジティブな声が挙がっている。
・10時間勤務にすることでピーク時の職員を充足することができ、残業が解消される
・10時間×週4日勤務とすることで、早番・日勤・遅番・夜勤それぞれのシフト毎の平準化実現
・公休が増える〜年間休日156日(週休2日8時間勤務制より年間50日以上増加)
・週休3日制に魅力を感じて募集に応募が増える
このように従来よりも少ない勤務日数や労働時間のなかで、効率的に業務を遂行するための工夫や仕組み作りが必要になり、従業員のなかで生産性に対する意識が芽生えやすく、従来よりも仕事のパフォーマンスが向上する可能性も考えられる。
また働き方改革をさらに進めて、「兼業可」としている事業所では、増えた休みを利用して副業を行うことで実質賃金を増やしている人もいる。
週休3日制を導入することでそれらのメリットが理解されて、人材獲得や離職防止につながっている介護事業者も少なくない。
一方で週休3日制を採用することによって事業者内には、「週休3日で働く従業員」と「週休2日の従業員」が混在することになる。その為勤怠管理や人事評価などの業務が煩雑化する可能性があるが、それは労務管理上の問題=事務系の担当職員の業務負担であって、週休3日制を選択する職員自身の問題ではないともいえなくもない。
だが週休3日制を選択した人であっても、その勤務に慣れずに週休2日制に戻す人もいたり、週休3日の勤務に慣れないことを理由に退職してしまうケースもあることは事実だ。
つまり週休3日制にも、向き不向きの問題があると云える。
ただ世の中に今以上に週休3日制が浸透する過程で、そのような問題は減少していくのではないだろうか。
どちらにしても介護人材不足に解消のめどが立たない介護業界において、他事業者との差別化を図り、人材獲得競争に勝ち残っていくためには、働き方改革に積極的に取り組んで、求職者・労働者ニーズに対応していくことが不可欠だ。
週休3日制の導入にも乗り遅れてはならないのである。
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感動の完結編。

私はこの流れは遠からずこの業界にも訪れると思っています。その時に埋もれる前に今から導入を働き掛けていきたいと思います。何より私が週に3日休みたいですから。
masa
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