他産業との平均給与差が広がり、更なる介護人材不足が懸念される介護業界。
あらゆる知恵と方法を酷使して、介護職員をはじめとした専門職の給与・待遇改善は必ず成し遂げなければならない。
だがそれだけで人材が集まるかと言えばそうではない。
そもそも縁あって介護事業に携わった人たちの中に、短期間で就職先を去り、さらには介護業界そのものから去っている人がいることに目を向けねばならない。
その中には介護福祉士養成校の卒業生も含まれている・・・介護の仕事に就きたいという動機づけを持ち、2年間専門学校で頑張ってきた人たちが、なぜ短期間でそうした状態に陥るのだろうか。
それらの実情に目を向けなければ、人材が充足する職場を創ることなんて不可能だ。
介護福祉士養成校の臨時講師を務めている僕は、教え子が卒業後に会うたびにが元気を失っている姿を見て辛くなることがしばしばある。
希望に燃えて就職した卒業生が、短期間のうちにその職場から去ってしまう実情を目の当たりにすることも少なくない。

今いる場所で懸命に咲こうとしている若者たちに必要な光も水も与えず、「理想と現実は違う」という言葉を使って、自分たちの程度の低い現実を若者に押し付けている介護職員が少なからず存在していることが問題だ。
そうした介護事業者に限って、アットホームな環境とか、家庭的で温かい介護とかいう理念を掲げていることが多い。
しかしその言葉は介護のプロになり切れない従業員が、アットホーム・家庭的という言葉に甘えて、家族同然のぞんざいな態度で利用者対応することを許しておくだけの品質の低い介護を生み出している。
そこでは介護実践の根拠も示せないベテランが、経験則だけで身に着けた介護の仕方を後輩に押し付ける指導しかしないために、介護方法の統一も図れずに、各自ばらばらのやり方で仕事が行われている。そういう職場に就職した介護福祉士養成校卒業生は、「介護技術を教えてくれない。根拠のない指導に終始する先輩しかいない。」と卒業生が悩みを打ち明けにくる。
その中には、『利用者への対応が流れ作業になってしまっている。こんなやり方が、利用者のためになっているとは思えない』と言いながら、『介護の仕事は人の役に立てる職業だと思って選んだのに、そうではなかった。』といって、介護の仕事をやめてしまう卒業生も少なくない。
卒業生がそのように元気を失って、仕事をやめてしまう原因は、就職した介護事業者の貧困ケアが原因といって過言ではないのである。
この状態を改善しない限り介護人材が充足することはない。
介護事業における生産性の向上を実現する最たるものとは、介護実務に精通した職員を育てて定着させることなのだから、就職した介護人材が短期間に辞めていく職場の生産性は永遠に向上しない。
だからこそ利用者の尊厳を護る高品質ケアを創り出すサービスマナー教育と、介護人材マネジメントはセットで教育していく必要がある。
家庭的とか、アットホームという昭和の遺物的理念は必要ないものとして切り捨て、対人援助のプロとしての知識と技術を備えた支援者により、お客様一人一人に安心で豊かな暮らしを提供できる介護事業にしていかねばならない。
そういう環境づくりができて初めて、介護事業者に就職した若者たちが元気にその場所で、小さくとも美しい花を咲かせることができるのである。
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感動の完結編。
