介護保険制度施行以前の社会福祉法人は、国家公務員準拠の給与体系とされていた。

介護保険制度以後それは徐々に見直され、給料表も新たにしている社福が多いが、賞与の支給日は依然と同じく国家公務員の賞与支給日と同様のままにしているところが少なくない。

国家公務員の賞与基準日は、夏が6/30・冬が12/10とされているが、僕が勤めていた社会福祉法人の賞与支給日について夏は6/15・冬は12/15としていた。(そのほか8/31に寒冷地手当、3/15に年度末手当を支給していた。)

今年は6/15が昨日日曜日だったので、今日6/16に賞与支給となっていることだろう。

どちらにしてもこの6月という時期は、夏のボーナス支給を行っているところが多い。その際に起きる現象がある・・・それは退職者の増加である。特に新年度に入職したばかりの人が、この時期を待って退職してしまうケースが少なくない。

何らかの理由で退職を決意した人が、夏のボーナスを受け取るまでその意思を示さないまま、ボーナス支給を受けた時期に退職届を出すケースだ。

そのまま介護業界から去る人も少なくないが、他の介護事業者を探して転職しようとする人もいる。今時期がその分かれ道を探す時期でもある。
転職への分かれ道
介護福祉士養成校の特別授業を担当している僕にも、転職を決意した学生から連絡が来ることが多い。そうした卒業生の多くが、現在勤めている職場の悩みを打ち明け、今後どうしたらよいのかという相談を持ち掛けてくる。

その中でも一番多い相談が、就職した先の先輩介護職員が、利用者に対して乱暴な態度で接している姿を見て、「こんなところでは、これ以上働きたくない」・「利用者対応を流れ作業のように行い、利用者を物のように扱う人の姿を見る毎日に、ストレスしか感じられない」という訴えだ。

かつて生徒に関わった教員の一人として、そのような訴えを行う生徒に、「そこで我慢しろ」とは言えない。そうした悩みを訴える卒業生には、自分が知る限り、そのような心配がないと思える介護事業者を再就職先として紹介している。

こうした事実から考えても、介護事業における顧客対応としてサービスマナー教育は重要になる。

従業員に定期的にサービスマナー教育を行い、その意識が浸透している介護事業者に就職した学生から、周囲の他の従業員の態度の悪さがストレスとなって辞めたいという訴えは聴こえてこない。逆にそうしたストレスが原因で退職した卒業生の再就職先となっているのが、従業員間にサービスマナー意識が浸透している介護事業者である。

だがそうした介護事業者に限って、この介護人材不足の折でも人が介護職員が充足している。介護サービス利用者は顧客であるという意識を高くもって、丁寧な対応を実践している介護事業者で働きたいと思う人が多いし、実際にそうなっている介護事業者は介護職員の定着率も高いからである。

この事実は、介護事業者におけるサービスマナー教育とその意識浸透が、職場のコンプライアンスやガバナンスの基盤となるだけではなく、事業経営を支える人材確保の効果にも結び付くことを証明している。

夏のボーナス支給時期であるまさにこの時期に、介護事業経営者や管理職の方々には、そのことを自覚・理解して介護経営戦略を練ってほしいと願う。
株式会社マイナビさんが運営するポータルサイト、メディカルサポネットの連載、菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営の第6回配信記事が6/9にアップされました。
菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営〜Vol.6
今回のテーマは、「2027年度介護保険制度改正の展望と課題」です。下記目次を参照してください。
2027年度介護保険制度改正の展望と課題目次
社保審・介護保険部会の改正議論も二回り目に入っています。今この時期に何が議論されているかを確認するうえでも、是非今回の配信記事を参照してください。
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