僕は現在の、朝・昼・晩と3回に分けて合計2時間弱の室内有酸素運動を行って体調管理をすることを日課にしている。
デスクワークが主となっている僕の暮らしでは、どうしても運動不足になりがちだ。そのため体重を必要以上に増やさないことを第一の目的にして、出張がない日はほぼ毎日その運動を行っている。
運動後の爽快感に勝るものはないが、しかし運動を始めることは決して容易ではない。思わず運動をしなくてよい理由を考えてしまいがちであるが、そうなるとさぼり癖がついてしまう・・・だから今は、運動をしない理由を考えないように自らを戒め、運動をする効用・その後の爽快感だけを考えるようにしている。
それによって毎日の運動が習慣化して、苦も無く自然に続けられている。
介護事業におけるサービスマナーの浸透も、同じようなことが云えるのではないだろうか・・・。

経営者や管理職が、顧客満足度を高めようとする目的をもって、従業員の接客態度を向上させようと組織改革にチャレンジする介護事業者が増えている。
スマホやタブレットを当たり前に使いこなし、ネットの口コミ情報で様々な選択肢を選んでいる団塊の世代が、サービス利用者の大部分を占めるようになりつつある現在、選ばれる介護事業者になるためには、その方針は正しいといえよう。
しかし従業員の意識が思うように変わらず、成果が挙がらないと嘆く声が聴こえてくる。介護サービス利用者に対してマナー意識を基盤として、ホスピタリティ精神を高めようと取り組んでも、従業員はタメ口対応が親しみやすさを現す表現であるという意識から脱せず、顧客に使ってはならない無礼な言葉遣いが直せないという話もよく聞く。
サービスマナーが浸透しない事業者のでは、丁寧な態度や言葉を使えない・使わない理屈をまず先に考えてしまう傾向が強い。そのため行動変容に繋がらないのである。
丁寧な態度や言葉は利用者に堅苦しさを感じさせるとか、よそよそしく思われるだとか、丁寧に接しない理由から先に考えてしまいがちだ。しかしその考えはあくまで介護を行う側の考えでしかなく、介護サービスを利用する人の考えではない。
しかもそのような考え方は、介護サービスを利用する人は顧客であるということを無視した考えでもある。
介護という職業を通じて生活の糧を得ている以上、そこでサービスを利用する人はお客様に他ならない・・・まずこの顧客意識を浸透さえなければならない。そうであれば顧客に対し、サービス提供者がタメ口で対応するのはもってのほかだということが理解できるはずだ。
そして顧客はただ単にサービスを提供してくれても満足はせず、接客する人におもてなしの気持ちが感じられる態度を望むのだ。
そのため丁寧な接客を行うべきだというのは、小学生でも解かる理屈であり、家族でもないサービス提供者が、家族と同じぞんざいな態度で利用者に接するなんて言うことが許されない行為であることも小学生の理解レベルだ。
丁寧な態度で接することができない理由も、「忙しい」・「腹が立つことを云われる」・「いうことを聴いてもらえない」などとあげつらう人がいるが、そんな理由で接客態度が低下することを介護以外の他の職業では許してもらえるとでも言うのだろうか。
どの職業でも、忙しい中でも顧客の態度や状態に我慢しながら接客に徹することが求められるのである。それも小学生に教えるレベルの事柄だろう。
利用者と仲良くなって、自分の祖父母のような関係になっているために態度が砕けるというのも介護のプロとしての態度に徹していないという甘えだ。家族ではない介護サービス提供者は、家族と同じ態度で利用者の接するのではなく、あくまで他人であり、かつ自分はプロの介護支援者であるという意識をもって節度のある態度が求められるのだ。
プロの介護支援者が利用者に対してサービスマナー精神を忘れずに接するという意味は、人権を侵害する要素を徹底的に排除するという意味だ。横柄な態度・無礼な言葉遣いは、しばしば人権侵害につながる問題を引き起こしている。「そんなつもりはなかった」という言い訳は、人権侵害という結果をもたらした後では、なんの免罪符にもならないのである。
顧客である介護サービス利用者から誤解されない対応の基盤となるのが、「サービスマナー」なのである。
だからこそ、どうぞよそよそしさを恐れるより、無礼で馴れ馴れしい対応で、利用者の尊厳や誇りを奪い、心を殺してしまうことを恐れる人でいてください。
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