介護支援専門員(※以下、ケアマネと略)の人材確保が急速に困難になっている。
直近の有効求人倍率は9.44倍で、同じ調査による介護職員(6.37倍)を大きく超える状況となっているのだ・・・。
こうした状況を受けて介護支援専門員の処遇改善が必然との声も高まっている。
例えば5/29には、自民党の日本ケアマネジメント推進議員連盟が、ケアマネの処遇改善を強く訴える要望書を厚生労働省に提出しているなど、政治的動きも目立ってきている。
介護保険制度改正の審議を行う社保審・介護保険部会の2/20資料にも、「ケアマネジャーがケアマネジメント業務に注力することができるよう、業務の整理やICT等の活用により負担を軽減しつつ、なり手を確保していくことが喫緊の課題」と問題提起されており、ケアマネを対象にした新たな処遇改善加算の新設に向けた期待が高まっている。
問題は国がこのことをどう考えているのかだ。

財務省はケアマネ対象の処遇改善加算の新設には反対だろう。
これに対し厚労省は、前回の制度改正で見送った居宅介護支援費の自己負担導入の結論を27年3月末までに示すとしていることと絡めて、2027年度〜自己負担導入としたうえで、ケアマネ対象の処遇改善加算を新設しようとしているように思える・・・このようにケアマネの処遇改善は、居宅介護支援費の自己負担導入と紐づけすることで財務省も首を縦に振るとみているのではないか・・・。
国にケアマネの処遇改善を求める諸団体の考え方にも温度差が見られる。
一番多いのは、ケアマネの処遇改善と居宅介護支援費の自己負担導入が紐づけされて考えられていることなどまったく知らない状態で、ケアマネの処遇改善だけを訴えているケースである。
次に多いのは、ケアマネ処遇改善と居宅介護支援費の自己負担導入が紐づけされていることを知りながら、それでも良いとしてケアマネ処遇改善を訴えているケースだ。
そして最も少ないのは、ケアマネ処遇改善と居宅介護支援費の自己負担導入が紐づけされていることを知っており、それはおかしいと紐づけをしないことを同時に訴えているケースである・・・僕の場合は、その立場をとっている。
ケアマネの処遇改善・給与アップは、ケアマネになろうとする人を増やし定着させるためには必要不可欠である。しかしその見返りに居宅介護支援費の自己負担が導入されれば、ケアマネの業務負担はかなり増えざるを得ない。
なぜなら自己負担金の徴収業務は、担当ケアマネが担うことになる事業所が多くなるだろうからである。毎月の自己負担金を担当利用者全員から徴収する業務はかなり大変だ。しかも滞納者が一人も出ないことは考えにくく、そうしたケースへの対応も増える。
処遇改善されて給与が上がっても、業務負担が増えれば、それは仕事に見合った定期昇給というイメージにしかならない。処遇改善効果は低下するだろう。
しかも、「居宅介護支援費への自己負担導入は、介護支援専門員の職が奪われるという意味でもあるんだぜ」という記事で指摘した通り、居宅介護支援費に自己負担が導入された後は、自己負担しなくて済むように訪問介護事業所などの居宅サービス事業者が、自社サービスを利用する代わりにケアプランを無料で作成支援するケースが増える。
つまり居宅介護支援事業所の顧客は減るのだ。処遇改善加算の仕組みは、毎月の売り上げに加算率をかけるのだから、顧客が減れば処遇改善の額も少なくなる。何より居宅介護支援事業所の経営に支障が生じかねない。
よってケアマネの処遇改善の訴えと同時に、そのことを居宅介護支援事業の自己負担導入と紐づけしないように求める必要もあるのではないかと思う。
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この時期にケアマネの処遇改善を訴えみずこら自己負担肯定の褌を掴まれようとしてる協会のアホらしさったらないです。
自己負担化したらそこで終わりです。
masa
が
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