介護の仕事をしている人の中に、自分自身と自分の仕事を卑下している人がいる。
自分は、「介護の仕事くらいしかできない」とか、「介護の仕事なんてろくなもんじゃない」と言いつつ、介護職に就いている人がいるのである。
そう考える理由は、介護の職業が他の職業に比べて給料が低いからなのか、はたまた行っている業務が人の役に立つどころか、心身の障害を持つ人物のように扱っているなどして民度が低い労働と感じるからなのかは定かでない。
しかしどちらにしても自分の仕事に誇りを持てない人がいることは事実だ。

勿論、全産業平均より低いと云われる介護職の年収は放置しておいてよいことにはならない。
業界全体で公費を引き上げるためのソーシャルアクションが必要だし、介護事業経営者が従業員に対し仕事に見合った報酬を支払おうとする考え方も求められる。何より介護サービスの品質をアップして、人の役に立つ仕事であると実感できる職場環境を創っていかなければならない。
だが仕事のやりがいは本来、自分自身で見出すものだ。やりがいを見出し、そこに社会的意義を見つけて、それに向かって全力で仕事に取り組む先に、自らの仕事に対するpride:誇りを持つことができるのだと思う。
そんなふうにprideとは、他人から与えられるものではなく自ら勝ち取るものだ。仕事にprideを持てない人は、自ら敗残者に陥っていると云えるのではないだろうか。
勿論、仕事にprideを持つことができない理由、誇りを持つことに対するバリアは多々あるだろう。
例えば介護の職業であれば、自分が利用者に心から善意で寄り添おうとしているのに、先輩や同僚の態度が利用者を見下して、馬鹿にするかのような接し方しかしない等々・・・そこで自分だけが真摯に利用者に寄り添うことが馬鹿らしく思えてしまうという人もいるのかもしれない。
しかし世の中はえてしてそういうものだ。自分が思う理想とは程遠いと思える事柄が多々存在するのが人の世である。
そこで考えなければならないことは、「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えることができる」ということだ。
僕自身も様々なバリアと闘ってきた。そのことについては、「老人ホーム・今昔(こんじゃく)物語(上)」・「老人ホーム・今昔(こんじゃく)物語(中)」・「老人ホーム・今昔(こんじゃく)物語(下)」を参照していただきたい。
特別な身分・特別な環境下に置かれていない人にとって、職業に就くということは生きていくうえで不可欠な事である。
しかし生きるために不可欠な仕事が苦行であっては、はかない人生を辛く苦しいものでしかなくする。
だから・・・どうぞ自分が就いている介護という職業のpride:誇りを見出し、それを忘れない人でいてください。
あなたが向かい合っている介護サービス利用者の方々の心からの笑顔を、どうぞ愛おしく思い、それを引き出す自分を好きになる貴方でいてください。
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※CBニュースの連載「快筆乱麻masaが紐解く介護の今」の最新記事「ケアマネ不足の原因は国策の誤り」が5/30アップされました。文字リンク先から参照ください。
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その後、紆余曲折あって今は有料老人ホームで働いています。
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お客様も会社で相応の地位があった方が多く、お金を払う意味を知っていると申しますか、払ったお金相当以上のサービスを強要されるような事はありません。
仮にカスハラがあっても会社の法務が動いてくれます。
こうした職場なので、私達も自然とご入居者に「お客様」として接するようになります。
お客様と職員が本当の意味で対等になり、結果としてお互いを尊敬しあえる。
だからお客様にも私達にも自然とプライドが生まれる。
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