高齢者をターゲットにした特殊詐欺被害が後を絶たない。
被害者に電話をかけるなどして対面することなく信頼させ、指定した預貯金口座への振込その他の方法により、不特定多数の者から金銭等を騙し取る詐欺行為は、かつて『おれおれ詐欺』・『振り込め詐欺』等という呼び名でクローズアップされたが、手口の多様化して名称と実態が合わなくなったため、「特殊詐欺」と呼ばれるようになった。
手口が多様化したといっても、常識で考えれば「そんなことはあり得ない」と思われる内容を真に受けて、簡単に騙される人がいる。
例えば先週北海道で発覚した特殊詐欺被害・・・江別市在住の80代女性が、警察官を名乗る人物らから「あなたの個人情報が漏えいしている。防犯のためにお金を預かりたい」などと電話で告げられ、5月上旬に江別市内の指定された場所に現金の入ったかばんを置いてその場を離れ、お金をだまし取られたという。

被害者は犯人がかばんを持ち去った場面さえ確認せず、かばんを置いた場所を離れたという。
その被害額とは、驚くことに1.800万円である。それほどの大金をかばんに入れて、見ず知らずの人の口車に乗って指定場所に置いてきてしまったのだ。
見ず知らずの相手の電話での言葉を、どうしてこれほど警戒心なく信じてしまうのだろう・・・そもそも警察官が防犯のために、地域住民のお金を預かるなんて話は聞いたこともないし、そんなことはあり得ないと思うのが普通だ。
しかし、あり得ない理由でお金を他人に支払ってしまうケースは、今回報道された江別市のケースだけではない。さすれば認知機能の低下のない人であっても、何らかの思い込みで警察官・行政職員などを名乗った電話の言葉を信じてしまうこともあるのだろう。
考えてみれば今般の社会情勢の変化がそれをもたらしているのかもしれない。ICTやAIロボットの進化という状況に追いつくことのできない高齢者は多い。そうであればあり得ない状況も、変化する社会情勢の一つなのかと思い込む人がいることも十分理解できることなのだろう。
そう考えないと多々報道される嘘っぽい言葉に引っかかる特殊詐欺被害がなくならない原因の説明がつかない。
ということで、いくら注意を呼び掛けても特殊詐欺被害はなくならないと考えて対策を講じなければならない。
だまそうとする人がいる限り、だまされる人はいなくならないと考え、だまそうとする人が減る対策が必要だ・・・詐欺罪の更なる厳罰化。主犯は無期刑。従犯も十年以上の長期刑が科されるとすれば、詐欺罪は犯罪者にとってリスクの高い行為になり、特殊詐欺は減るのではないか・・・。
そんなふうに思うし、何より主犯を特定して逮捕に至るケースを増やさねばならない。ここはICTを活用した最先端の科学捜査が必要な部分ではないかと思う。
どちらにしても特殊詐欺被害をできるだけ防ぐ対策は必要である。老後資金をすべて失う被害者は、生きる希望も失っているという事実に目を向けてほしい。
※メディカルサポネットの連載・菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営〜Vol.5の最新記事が5/14にアップされました。


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