繰り返される介護職員による暴力事件・・・今度の舞台は佐賀県である。
先週5/2(金)午前4時ごろ佐賀市北川副町の老人ホームで、入所者の柳瀬忠雄さん87歳の顔を殴ったり、背中に立って踏みつけたりする暴行を加え、胸の骨を折るなどのけがをさせた傷害の疑いで35歳の介護職員が翌3日に逮捕された。
被害男性は搬送先の病院で死亡が確認され、司法解剖の結果、死因が暴行と因果関係があると見て警察は容疑を傷害致死に切り替え動機や原因などを捜査している。
容疑者は佐賀市諸富町に住む介護職員・下津浦弘平(35歳)。警察によると同容疑者は容疑を認めているという。

事件があった老人ホームとは、有限会社千歳が経営している住宅型有料老人ホームちとせであると思われる。
容疑者の男は、「ちとせヘルパーステーション」の管理者として登録されているため、2日朝も訪問介護員として被害男性に対応していたのか・・・しかし看護職員と共に夜勤中に、看護職が休憩に入って容疑者がワンオペとなった時間に暴行したとの情報もある。
住宅型有料で2人夜勤というのも考え難く、このあたりの情報は錯そうしているが、背景はともかく一事業所の管理者という立場の者が、怒りに任せて利用者が胸骨骨折するほどの暴力をふるい、死に至らしめたという事実は動かない。
このようなことがあってはならないが、介護事業者内での同じような暴行致死事件が繰り返されているのも事実だ。(参照:元日早朝に起きたサ高住での暴行死 ・ 顧客意識を持てない職員の成れの果て)
介護事業とは日本社会を支えるセーフティネットであるはずだ。介護離職が大きく問題視されているように、身内の介護を個人の問題とせずに、社会全体で解決に導くことがすなわち日本経済を支えることにもなるのである。
だがそれを理解してもらうためには、介護事業が存在するだけでは駄目だ。介護サービスの品質が当然問題となり、それが人の暮らしを支えるに十分なものであるかが問われてくる。
そうであるにもかかわらず、このような虐待事案が続々と出現することによって、それが氷山の一角であり、すべての介護事業者が不適切サービスの要素を持ち、それを隠していると思われてしまう。
こうした事件をなくさないと胸を張って介護がセーフティネットだとは言えなくなるのである。
だからこそ不適切サービスの芽を事前に摘むサービスマナー教育が不可欠なのである。親しみやすい介護だとか、家庭的な介護だとかいう屁理屈で、お客様である介護サービス利用者にタメ口で話しかけることを是とする素人事業経営が、今日の虐待が相次ぐ状況を招いているのではないのか。
横柄な態度、無礼な言葉遣いは、しばしば人権侵害につながる問題を引き起こしている。「そんなつもりはなかった」という言い訳は、人権侵害という結果をもたらした後では、なんの免罪符にもならない。
介護事業に携わる私たちは、よそよそしさを恐れるより、無礼で馴れ馴れしい対応で利用者の尊厳や誇りを奪い、心を殺してしまうことを恐れる人でいなければならないのである。
それと共に、怒りなどの感情を抑えて、常に対人援助のプロとして適切に利用者対応ができる態度を身に着ける必要がある。その為にも明日は、この記事の関連としてアンガーマネジメントについて論ずる記事をアップする予定だ。
5/8の更新の記事もぜひ参照いただきたい。
ところで、この容疑者名をFBで検索すると、事件記事と共に複数のアカウントが表示され、すべて当該容疑者のものと思われる。
恐ろしいことにそのアカウントの一つには、まったく罪のない容疑者の妻や長女の顔写真が掲載されていること。SNSが普及した現代社会では、こうした形で家族が特定されてしまう。悪いことはやってはならないとつくづく思う。
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