今週月曜日(4/28)に、「GW中に確認してほしい介護保険制度設立経緯」を書いて、介護保険制度創設に関連する4つの記事を紹介した。

その一つ、「介護保険・夜明けの雷鳴1」を読むとわかるように、介護保険制度の当初案では、「負担は20歳、受給は65歳から、在宅サービスを先行実施し、段階的に施設サービスも後発実施する」とされていたのである。

しかし収入のない学生を含めた20歳以上の国民に、受給権も与えずに負担だけを強いることに理解は得難いということと、同じ高齢者介護であるのに在宅と施設で制度が違っては混乱するという意見が強くなり、法案提出直前になって、「保険料負担・受給は共に40歳から。制度は在宅、施設の同時実施。」と軌道修正された。

そのうえで保険料負担については、1号被保険者(65歳以上)と2号被保険者(40歳以上65歳未満)に区分したうえで、2号被保険者については特定疾病に起因する障害に対してのみ介護認定と給付を行うという条件を付けた。

2号被保険者を40歳以上とした理由は、その年齢になると自分の親の介護問題が身近になり、理解を得やすいとされたものである。

だが将来的には保険料負担年齢を当初案と同じ20歳まで拡大しなければ介護保険制度は維持できないと考える人も居り、制度が浸透した現在がその時期ではないかと考える人も少なくない。

さらに定年延長で70歳まで現役として働く人が増えている中で、1号被保険者の対象年齢も65歳から段階的に70歳まで引き上げてはどうかという意見もちらほら見え隠れしている。そして長期的には、1号被保険者の対象年齢引き上げと、2号被保険者の対象年齢引き下げは避けられないと考える人が多くなっている。

これらの給付制限・国民の痛みを伴う改革については、85歳以上の後期高齢者数と要介護者数がピークとなる2040年問題を見据えて議論の俎上に上ってくることが考えられるが、その時期は夏の参院選が終わった後から行われる可能性もある。

少なくとも国政選挙前にそうした問題は表立って議論の俎上には昇らない。
黄昏
今現在は、地域3分類化と地域特性あわせたサービスの柔軟化が議論の中心で、時にそれぞれの地域で人材不足が深刻化してくることから配置基準緩和が議論の中心となっている。

この配置基準緩和論は、更なる人材不足に拍車をかける悪循環を生みだすことを、「配置基準緩和を誰が歓迎するのか。」という記事を書いて警告しているが、もう一つ問題点を指摘しておきたい。

それは配置基準が緩和された先には、必ず報酬削減が待っているということだ。少なくとも財務省は、配置人員を減った状況で、今までと同等対価で介護事業経することを認めるような甘い考えは持っていない。緩和された配置職員数で運営している場合は、それまでの対価を引き下げることを念頭に置いている。

つまり人員配置を緩和してなお、報酬引き上げを求める声が通るという期待してはならないということだ。

基準緩和に賛同の声を挙げている関係者は、このことも理解したうえで、マイナス改定もやむ無しとして緩和策を歓迎しているのだろうか・・・そうだとしたら、介護事業経営センスが疑われると思う。
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