日本慢性期医療協会(日慢協)は24日、記者会見を開き、病院関係者が居宅介護支援事業所の介護支援専門員(以下、居宅ケアマネと略)と連携し、ケアプラン作成を支援する仕組みの導入を提案した。
だがケアプラン作成支援という割には、その内容は上から目線である。まるで居宅ケアマネは医療サービスの知識に欠けると決めつけた提案としか思えない・・・。
日慢協が提案する「医療介護一体型のケアプランニング」とは、下記の図のように病院の医師や看護師、リハビリ療法士、管理栄養士、社会福祉士、地域医療連携室から選ばれたメンバーらが「メディカルケアプランナー」としてチームを組み、居宅介護支援事業所のケアマネや地域包括支援センターの主任ケアマネらと連携するイメージである。

この日慢協案を考え出した人間は、居宅サービス計画書は単なるサービスオーダ―表だと勘違いしているのではないのだろうか。居宅ケアマネが利用者ニーズを引き出すことなく、一方的にサービスを組んでいると決めつけている考え方でしかない。
それとも居宅ケアマネのアセスメント能力では、利用者の適切な医療サービスを結びつけることは困難だというのだろうか・・・自分たちの能力を、居宅ケアマネより上回るものだと決めつけて、これこそが科学的介護につながるアセスメント法であると決めつけた提案にしか思えない。
前職と実務経験が福祉職である、いわゆる福祉系ケアマネジャーと呼ばれる人の中には、糖尿病の利用者の血糖値管理が計画されていないとか、いろいろ批判があることは知っている。しかしそれはとりもなおさず個人のスキル差の問題であって、福祉系ケアマネ全体の問題ではない。そして福祉系ケアマネでもきちんと医療知識を持って、適切な医療系サービスをプランニングできる人は腐るほどいる。
居宅サービス計画はサービス担当者会議という多職種での話し合いにより原案作成しているのだ。その際に利用者が医療サービスの利用を希望している場合は、主治の医師等の意見を求めなければならないと規定されている。
そうしたルールがある上でさらに医療専門チームのアドバイスを受ける必要性は理解できない。そんなことをしていたらいたずらに居宅サービス計画作成に時間がかかって、利用者とサービスを結びつけるのにタイムラグを生じさせるだけだろう。
そもそも、「メディカルケアプランナー」なるチームのスキル担保の方法も明確ではない状況において、そのようなチームにどんな期待を持てというのだろうか。馬鹿も休み休み言えと言いたい。
こんなチームの評価を受けないと居宅サービス計画を適切に作成できないと考えられているとしたら、居宅ケアマネはずいぶん馬鹿にされているとしか言えない。
このような形で連携が行われた先にあるものは、「メディカルケアプランナー」の構成メンバーが所属する医療機関による利用者の囲い込みでしかない。
体の良い理屈をつけて、メンバー所属の医療系サービスを限度額いっぱいまで計画に入れようとする医療関係者を増やすだけである。
このような提案に喜ぶ居宅ケアマネはいないと思うが、日慢協にしっぽを振って媚びを売ろうとする居約ケアマネがいないことを願うばかりである。
こんな意味のない連携提案に対して、全国の居宅ケアマネ諸氏は激怒して良いと思う。
※筆者の講演予定はこちらからご覧ください。講演依頼はあかい花公式Web右上の✉をクリックしてお気軽に相談・お申し込みください。
※CBニュースの連載・快筆乱麻masaが読み解く介護の今112,「新人が成長・定着できる職場づくりは不断の努力で」が4/28・10時にアップされました。

人材確保のポイントは、人集め以前に定着する職場づくりです。こちらをクリックして参照ください。
※別ブログ「masaの血と骨と肉」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。
北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。
・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。
・masaの看取り介護指南本「看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。

新刊「きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは」(2021年10月10日発売)をAmazonから取り寄せる方は、こちらをクリックしてください。
マンパワーや新しい業務の負担を何も考えていない施策
実現するとは思っていませんが医療側も現場はブーイングの嵐なのでは
masa
が
しました