次期介護保険制度改正と介護報酬改定は、2027年度〜行われる予定だ。
このうち報酬改定については24年度の診療とのダブル改定と異なり、介護単独改定である。
診療報酬改定は2年に1度行われるため時期改定は26年度となる。つまり介護報酬より1年早く改定されるわけであるが、そこには近直の国の政策方針が盛り込まれることになり、当然その流れは介護報酬改定も巻き込んでいくことになる。
つまり介護報酬改定は、診療報酬改定の川下に位置すると考えてよいわけで、来年度の診療報酬改定について、「介護とは関係のない話」と介護関係者が無関心で良いわけがなく、しっかりその流れを見ておかねばならない。
ところで今現在、社保審・介護保険部会では、2027年度からの介護保険制度改正議論が進行している。
この議論は今年の年末まで続き、クリスマスの直前に諮問・答申が行われる。
(※そこで決まった改正内容が、来年1月の通常国会に法案として挙げられるわけである。)

介護保険部会に答申がされた後は、介護給付費分科会に審議の場が移って、介護報酬改定・基準改正に関する議論がされることになる。その諮問・答申は来年12月に行われ、必要なものは国会審議を経て、2027年4月からの法改正・基準改正・報酬改定となっていくわけである。
ところで冒頭近くで述べた介護保険部会の本格審議であるが、今回は昨年12/23の第116回社会保障審議会介護保険部会から始まっている。
これは過去にない異例の速さだ。過去の制度改正議論は、12月諮問・答申というスケジュールに沿って、その年の4月から本格化するのが通例だった。ところが今回の議論開始時期は、通例より4か月も早い時期に始まっている。
これは何を意味するのかははっきりしている。それだけ議論すべき領域が多岐にわたっているということであり、2027年度介護保険制度改正は今までにない大改正になることが容易に予測できる。
2040年代に要介護者数はピークを迎えるが、その「支え手」が財政・サービス両面で急速に縮小していく。それは医療にも介護にも、今まで以上に人手や財源をかけることは不可能になることを意味している。
介護保険制度の次期改正は、既得権をはじめとした今までの給付実践にとらわれずに、制度を縮小していくための第一歩を踏み出す方向で議論が進んでいく。
例えばそれは、1法人1拠点といった小規模経営をしている介護施設・事業所に対して、スケールメリットが働く協働化・大規模化等による経営改善の取組を求めるものであるかもしれない。
さらに地域を、「中山間・人口減少地域」・「一般市」・「大都市部」に3分類して、その特性に応じた運営基準等の弾力化を図る取組であったりするわけだ。
当然前回改正で積み残された課題も再検討される。利用者負担割合2割の対象者の拡大は確実に実施されるだろう。居宅介護支援費の自己負担導入と、訪問・通所介護の軽介護者サービスを地域支援事業に移行させることについても結論が出されることになっている。
どちらにしても介護事業者及び関係者には、より大きな改革と発想転換が求められることになる。
だから次の改正は、「チェンジ」がテーマであり、そこについて行くことが出来なければ事業撤退も視野に入れなければならなくなるという厳しい状況であるという理解が必要だ。
今後続々と示される情報にアンテナを張りながら、素早くその備えに取り掛かることが重要になる。
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