次期介護保険制度改正の重要なテーマの一つは人材シェアである。
全産業で労働力不足が深刻化する中で、介護事業もより人材不足が深刻化する懸念がぬぐえない。だからこそ有能な人材は、一つの事業・一つの職種に縛り付けることなく、多様な活躍のステージを与えるべきである。
それも単に所属法人の中で兼務できる範囲を広げるだけではなく、異なる事業主体で幅広く働くことができるように柔軟な兼務を認めるべきだ。
昨年度の基準改正では管理者の兼務規定が緩和され、「同一敷地内又は隣接する事業所の職員とのみ兼務できる」から、「事業所間の距離に関わらず兼務できる上、管理者としての業務も兼ねることができる」と改正された。
こうした兼務規定を管理者のみならず、職員にも広く広げなければ十分なるサービス提供が困難な社会となる。
「中山間・人口減少地域」では、顧客が減って採算がとれないために介護事業者が廃業・撤退が増えている。その為、居宅ケアマネをはじめとした専門職の数が足りなくなる地域が今後も増え続ける。
「大都市部」では、要介護者の数が今後20年弱増え続けるが、その増加対応するサービス提供者の数はさらに足りなくなる。「一般市」は、「中山間・人口減少地域」と「大都市部」のそれぞれの問題が混ざり合って、どちらにしても介護人材が足りなくなる。
だからこそ有能な人材を配置規定で、一つの事業に縛り付けるのは時代のニーズには合わない。
だが兼務緩和が対価を伴わない過酷労働に結びついてはならない。ひとりの専門職が異なるサービスの場で活躍するためには、それに見合った対価も支払われなければならない。
そのためには同時に副業禁止という規定を過去の遺物にしていく必要もあると思う
過去にも僕はこのブログで副業を認めるべきだと主張してきた。(参照:副業禁止規定を撤廃しない介護事業者は廃業予備軍)
参照記事でも書いたが、現在厚労省が推奨している「モデル就業規則」では、過去において原則副業禁止としていた規定を改め、一定条件化で副業を認めている。

このような条件をさらに緩和して、リモートワークができる仕事については、就業時間中に同時一体的に複数の事務作業を行うような改革も必要なのではないかと考える。
今日このようなことを考えたきっかけがある。それは北海道深川市立病院の40代の職員が、動画投稿サイトに配信し、「投げ銭」名目で20万円分のポイントを報酬として得たことに対し、公務員の副業禁止規定に触れるとして処分されたという新聞報道に触れたからである。
動画内容は仕事とは関係ない内容だそうである。そうであれば勤務時間外に動画配信して対価を得たっていいじゃないかって思う。今どき副業禁止規定があることの方がおかしい。
ちなみに道職員は副業が認められ、就業前に人手不足の農家の収穫手伝いなどをして対価を得ることが認められている。このような違いがあることこそおかしい。
昭和の規定を見直し、令和の新しいスタンダードを創っていかないと、仕事も人も回らない。
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