4/7に行われた、「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会(第5回)で示された中間とりまとめ(案)。
この中で、3/10のこのブログの解説記事で示した、全国を3つの分類に分けて、それぞれの特性に応じて効率化や事業者の連携強化といった対策を検討するという考え方が具体的に明記された。
おそらく2027年度の介護保険制度改正の目玉は、この改革になるだろう。

資料によると、全国を「中山間・人口減少地域」・「大都市部」・「一般市」の3つに分類し、それぞれの状況に合った施策を展開するとしている。
介護ニーズが縮小していく中山間・人口減少地域については、利用者への介護サービスが適切に提供されるよう、その需要に応じて計画的にサービス基盤の維持・確保を図っていく必要があるとし、下記の二つの件の取り組み事例を示している。
・高知県では「集い」・「相談」・「訪問」・「生活支援」・「つなぎ」といった機能を中心として必要なサービス提供を行う連携拠点が機能している。
・鳥取県では「買物」・「交通」・「医療・福祉」・「子育て・教育」等を重点分野とし、それぞれを組み合わせた取組を行っている。
そのうえで訪問介護と通所介護の運営基準の弾力化を盛り込み、サービス間の連携を深めるほか、双方の人材が柔軟に行き来できる仕組みの整備を図ると書かれている・・・この時、思い浮かぶのは23年度改正で当初目玉とされ検討されたが、結局創設が見送られた複合型サービスである。
その際に創設が検討された複合型サービスは、結局のところ訪問介護と通所介護をふっつけただけのサービスで、人員配置基準の緩和もされず、柔軟なサービス提供も実質出来ない硬直的なサービスであったことで、創設が見送られた経緯がある。(参照:お騒がせの複合型サービスはこのままお蔵入りか。)
今回の資料では、「介護人材や専門職の確保が困難な中、様々な人員配置基準について弾力化していくことが考えられる」と記されているので、前回の轍を踏まないように期待したい。
高齢者人口が減り、介護サービスのコスパも低下する「中山間・人口減少地域」については、地域に残ってサービスを維持していく事業者へのインセンティブを検討する意向も示されているので、中山間地加算は間違いなく増えるだろう。
一方で、「大都市部」については、要介護者の数も2043年頃まで増え続け、今以上に介護ニーズが高まることが想定されている。ところがそのニーズに応えることができる人材の確保が非常に難しくなっている。介護生産性向上はそのためにも急務になっているわけだが、人手をかけないと解決しないニーズも少なくない。
その為、高齢者のニーズに沿った多様な住まいを充実していくとともに、多様な住まいに対応した様々なサービスをICTやAI技術も活用しながら組み合わせ、利用者のために提供する体制整備が必要であるとしている。
だがテクノロジーで代替できる部分はさほど多くはないという現状があり、大都市部では中山間地とは異なった意味で人材活用を図っていかねばならない。
具体的には、ひとりの人材を一つの事業に縛り付けていては介護サービスは回らなくなるという意味だ。兼業・兼務が進むように大幅な人員配置基準の緩和が求められるのではないだろうか。
その為、今回の中間報告でも「人材のシェア」を進めていくことが肝心である旨の記述がある。これは大いに求められることだ。
そのような人材シェアが具体的にどういう形で制度反映されるのかが、今後の注目点となろう。
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