今週火曜日は、毎月一度の顧問先の職員研修の日であった。
今回は、「リスクマネジメントの観点からの介護記録書き方」をテーマに、介護事業に必要とされる支援記録等の書き方について話をさせていただいた。
介護職員等が記録の書き方を学ばねばならない意味と背景を考えてほしい。
利用者の支援記録とは、 職員間の情報共有という意味がある。つまり、「記録を通して、利用者の状態・情報を正しく共有することで、余計な混乱や誤解を防ぎ、統一したケアを提供する」という目的に沿った記録が必要とされるのだ。
また介護の質の担保と向上のために、「後々、記録の中から利用者のケアに生かすことのできる情報を探し出すことができる」ということも必要である。
しかし一番重要なのは、 証拠・証明としての記録という意味である。
介護報酬は改定のたびごとに加算が増え続けている。介護事業者経営を安定させるためには、そうした加算を細かく拾っていかねばならないが、そうした加算には様々な要件が付けられている。
その要件をきちんとクリアできないと加算算定ができないことになる。そしてそのルールがきちんと守られているかということについては、行政担当課の運営指導で確認されることになる。
その際に正しい加算算定ができているという証明・証拠となるものが、「記録」である。介護職が書く「支援記録」も要件に沿った利用者対応ができているかどうかの証拠・証明書類と言えるわけである。
そのため介護事業における記録はとても重要視されるのである。特に必要な介護をきちんとできているかどうかは、介護職員がつける支援記録でしか証明できないので、それは非常に重要であり、介護職員の記録を残す能力も介護スキルの一つとされている。
だが、きちんとした記録を書くことができるかどうかは介護職員の永遠の課題でもある。本来それは身体介護や生活援助とは別の能力であるはずだ。
そういう意味で言えば、介護職員が文章力をつけなくても良い介護事業の実現が理想ではないかと僕は思う。近い将来ICTやAIを活用することで、必要とされる記録を自動記入できるようになることが一番の生産性向上につながり、その実現を待ち望んでいる・・・。
とはいっても現在そのようなテクノロジーはないわけであるから、必要最低限の記録は介護職員に委ねなければならない。
だから文章力を伸ばすというより、他者に伝えられる文章を創るコツを伝授したいと思う。
例えば下図（※4/2に行った講演スライドの１枚）を見てほしい。
上段と下段の文章は、まったく同じ文章である。しかし改行せず空白行もない上段の文章は、見た瞬間に読みづらさを感じさせるのではないだろうか。
一方で同じ文章に改行を入れ、空白行も創ることで読みやすさは格段に上がると言える。
このように文章力そのものよりまず、読み手が読みやすいと思える文章にするという配慮が求められる。
それができてこそ、初めて文章作りのテクニックが生きてくる・・・例えば、「指示代名詞は、指示したい語句に近接させる」・「逆節語句を乱用しない」・「1つの文に書く内容はできる限り1つに絞ること（一文一義）」などのテクニックは、読み手が読む気になってくれる前提がないと何も意味がないものになるのだ。
このように書く力が向上させるには、読む人の気持ちになる必要があることを忘れてはならない。
そして良い「書き手」とは、｢読み手」として、文章を日頃から読むことを苦にしない人であることを理解して、日ごろから文章・・・特に新聞報道などの簡潔文を読む癖をつけておくことで、文章力は自然に向上するであろう。
（※事実を簡潔に伝える文章を書くためにに続く）
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感動の完結編。
