先日更新した記事では次期介護保険制度改正と介護報酬改定で、地域を3分類に分けて新たな対策をとる方向性が示されたことについて論評した。

それに加えて今日も次期制度改正と報酬改定に関連した新たな考え方について論評したい。

国はかねてより、「1法人1拠点といった小規模経営をしている介護施設・事業所が安定的に必要な事業を継続し、地域におけるサービスを確保し、複雑化したニーズに対応するためには、協働化・大規模化等による経営改善の取組が必要。」という考え方を示している。

これに関連して1/9に開催された「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会の初会合では、介護事業事業者の連携、協働化のインセンティブ付与=次期介護報酬改定における何らかの報酬評価が必要ではないかという考え方が以下のように示された。
個々の介護事業者により経営課題がなかなか解決できない場合でも、他の事業者との連携、協働化、経営の多角化も含めた大規模化など、複数の経営主体により解決が図られるケースもあると思います。また、社会福祉連携推進法人、小規模事業者のネットワークといった制度的な手法もございます。これらの手法の普及のため、事業者へのインセンティブづけをどうするか。
バックオフィス
介護事業の規模拡大については、介護報酬を大幅に増やす財源はないという前提で、財務省などがスケールメリットがは働く規模の事業者をスタンダードにせよという主張を早くからしているところである。

制度的な連携の手法としては社会福祉連携推進法人という形もあるが、事務処が煩雑などというデメリットも大きく、その普及に課題があると指摘されている。

今回、そうした課題を踏まえて中小規模の介護事業者が連携する方策を、報酬評価という実利を餌にして広げようという考え方が示されたものと思える。

このことについて老健局の黒田秀郎局長は3/9、都内で開催された日本介護経営学会のシンポジウムで、「中小の事業者に合併してほしいということでは全くない」と明言。「事業所同士が連携し、例えばバックオフィスの業務を共同で行うなど、ハードルが低く成果が実感できるような方法もあるのではないか。そうしたことを進めていきたい。多様な形の連携の姿を考えている」と述べている。

このことはある意味、近い将来の介護事業経営を考える際に、大きなヒントになると思われる。

バックオフィス=事務管理部門は配置人員の基準がない部分で、直接利用者対応する部署でもないため、アウトソーシングも可能である。

仕事の性格を鑑みても1事業ごとにバックオフィスをそれぞれ置く必要はなく、大きな法人では法人本部にバックオフィスを集約して、法人内の全事業所を網羅して管理しているということが、ごく普通に行われている。

これを複数の他事業所間で行うようにすれば、効率的な事務管理ができるというわけである。

申請業務等の事務業務は、能力も必要で決して業務負担が軽いわけではない。しかし事務処理の手順を会得・習熟した人にとっては、その業務が1社のものであろうと複数に渡る業務であろうと、大した手間が増えるわけではないと感じて、業務をこなせる人も少なくない。

そういうスキルが高い事務職員は、数社の事務処理を担うことで、それぞれの事業者から対価を得ることができるようにすればよいだけの話で、協働化・大規模化へのインセンティブづけは、介護事業者と従業員双方がウイン・ウインの結果をあられる方策につながる可能性がある。

すでにバックオフィスの業務委託を請け負っている業者も存在する。僕が顧問を務めている株式会社279では、まかせ手オフィスサポートとして、介護事業所のバックオフィス業務をトータルサポートし、人事労務、経理、書類作成、デザインなど煩雑な事務作業を請け負っている。

こうしたバックオフィスのアウトソーシングを、複数の介護事業者が共同で行うことができれば、物品の共同購入も容易になる・・・紙おむつなどの介護用品や、食材料などを共同購入することで、購入価格を下げることができ物価高にも対応できることになる。

そういう意味も含めて、バックオフィスの共同アウトソーシングは、介護事業経営戦略の一つに組み入れてよいのではないかと考える。
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