我が国の年齢層には2つの山がある。
最大の山とは、いうまでもなく団塊の世代の山である。第1次ベビーブームと云われた当時に生まれた「団塊の世代」とは1947年(昭和22年)〜1949年(昭和24年)生まれの世代を総称する言葉である。
そしてその次の山とは「団塊ジュニア世代」の山である。それは団塊世代の人々の子供が数多く誕生した第2次ベビーブームと言われた当時に生まれた世代で1971年(昭和46年)から1974年(昭和49年)生まれの世代を指す言葉だ。

我が国の社会保障政策上の一番の問題点は、第2次ベビーブーム以降はベビーブームが存在せず、出生率は低下の一途をたどっているということである。
団塊世代という大きな塊が今年、全員後期高齢者に組み入れらえることになり、要介護状態となる人も増えるが、それを支える塊の世代として団塊ジュニア世代があることがせめてもの救いである。
しかしその団塊ジュニア世代が高齢期に入る2040年以降は、次の塊がないために財政・人材両面での支え手が急速に不足する。
これが我が国の2040年問題と呼ばれているのである。
2027年度の介護保険制度改正と介護報酬改定は、この2040年問題に対する対策に本格的に取り組むということが論点の中心となっていく。
この問題に関連して、3/3に行われた「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会(第4回)では、高齢化の進み具合や労働力、社会環境などの地域差に応じたサービスモデルの構築を図ることが検討課題として挙げられた。
それによると、人口減少や高齢化の進み具合によって地域を「都市部」「中山間」「一般市等」の三つに分類し、それぞれの特性に応じて効率化や事業者の連携強化といった対策を検討するとしている。
云うまでもなく、これは人手不足が深刻化している介護サービスを維持するための対策である。
政府は、団塊ジュニア世代が高齢期に入る2040年度に介護職は57万人不足すると推計している。
その中でも全国20政令指定都市と東京23区のうち97.7%で高齢者数や介護需要が2040年以降にピークを迎える。これに対し全国の町村の3割程度が既にピークを越えたと見込まれる。
そのため「都市部」とは、大都市圏など2040年以降も高齢者数や介護需要が増える見込みの地域を分類するとし、そこでは単身高齢者の急増に対応するため、見守りセンサーや介護ロボットの導入などで効率化を図る。
一方で既に高齢者数や介護需要が減少する局面に入っている地域は「中山間」と位置づけ、介護事業者の連携強化や大規模化などで介護サービスの提供体制を確保する。
介護需要がやがて減少に転じる見込みの地域は「一般市等」とし、需要の変動に対応するため、早めの取り組みが必要とした。
今後これらの分類の地域対策がさらに具体化されていくが、こうした考え方は正しい方向性だとと思う。全国一律の基準ではなく、地域特性に応じた柔軟で、かつ大胆な考え方をとっていかないと介護人材がさらに減少する世の中で、すべての地域に介護サービスは提供不可能になる。
特に人材活用の面からは、有能な人材を一つの事業所に固定配置せず、複数の事業所でその才能と生かすことができる柔軟な配置基準の考え方が必要だ。管理的業務についてはオンラインをフル活用して、その場にいなくとも常勤配置とみなすことができる条件を大幅に緩和する必要がある。
そういう意味で、是非この有識者会議が大胆な改革案を示して、それが介護保険部会・介護給付費分科会などの審議へとつなげていただきたいと思う。
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