暦は早3月・・・全国の介護事業者にも4月の年度替わりに新入職員が数多く入職することと思われる。

介護福祉士養成校を卒業する人、高校や短大・大学の新卒者、他産業からの転職する人など様々な人が年度替わりを期に介護事業者に就職してくる時期である。

そのことに備えて準備を進めなければならない。

2023年には、介護保険制度創設以後初めて介護職員の成り手が前年比で減少するなど、介護人材の確保が益々難しくなっている状況だから、ひとまず従業員募集に応募があって、就業してくれる人が一人でも増えることを良しとする関係者が多いことと思う。

しかし対人援助に向かない人、スキルの伴わない人間を何人集めても職場の戦力にはならない。

自分以外の他者の暮らしに深くかかわり、その人の最もプライベート空間で心と身体を護るということが理解できない人が何人いようと介護事業に必要な人材とは言えない。そうした人間は、いつか不適切な利用者対応で、介護事業の経営を危うくするリスク要因でしかなくなる可能性が高い。

だからこそそういう人材を見分け、かつ介護という職業の使命や誇りを持つことができる志の高い職員を育てる準備が必要なのである。そういう意味で今、この時期に新年度の入職者受け入れや教育の準備を万端に整えておく必要がある。
新入社員教育
新入社員が介護事業に必要とされる人材として、志高く育っていくかどうかは、今いる従業員の志にかかっていると云って過言ではない。

介護サービスを提供するプロとしての志をしっかり植え付け、顧客対応にふさわしいマナー意識を植え付ける必要もある。介護という仕事は決して施しではなく、生活の糧を得るための職業であり、介護サービス利用者は顧客なんだという意識づけを行わねばならない。

そうであれば、年下の者が年長者に対等の話し方をする等意味でしかない「タメ口」は、お客様に対して最も失礼な言葉遣いであり、決して使ってはならない言葉であることも理解できるだろう。

そうした教育を介護実務の前に行う座学としてしっかり行わねばならない。そのようなシステムがなく、介護実務教育を現場に丸投げした介護事業者には人材は張り付かないし、定着しないと覚悟すべきだ。

また座学後のOJTのシステムもしっかり作っておかねばならない。介護職員のOJTに必要なツールは、「使いこなせる介護マニュアル」なのだ。存在しても使われない・読まれない介護マニュアルは意味がないのだ。(参照:読まれる介護マニュアルを作るコツ

そのようにOJTの最中に常に読み返して、介護実務の具体的方法を理解できるマニュアルもない状態で、OJTを担う介護指導者は、徒手空拳で困難な状況に放り出されているようなものだ。そこで成果を挙げられないのは至極当たり前だろう。

例えば食事介助マニュアルは、食事準備〜食事介助〜後始末(口腔ケアを含む)の方法論が具体的にわかればよいだけなのに、その前に食事とは・栄養とはetc.といった説明文が長々と書かれて介護実務の方法論になかなかたどり着かないマニュアルがある。それはマニュアルではなく小論文だ。そんなものをOJTの最中に読んで実務を覚えることができるわけがない。

食事とは・栄養とはといった話は、「介護概論」として、OJTの前の座学で行えばよいのである。

そうした準備を急がねばならない時期が今である・・・時間は限られており急がなければならない。
CBニュースの連載記事、快筆乱麻!!masaが読み解く介護の今の最新記事、補正予算での訪問介護支援は愚策が2/27にアップされました。
CBニュース・快筆乱麻masaが読み解く介護の今
今回は訪問介護支援策と介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方に関する通知内容について、両者を絡めて論じています。文字リンクをクリックして参照してください。


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