北海道内の小売業で、客が理不尽な要求をするカスハラへの対策が広がっています。
スーパーやドラッグストア、百貨店各社はカスハラを容認しない姿勢を示す指針をまとめ、実際に悪質な顧客に対して入店を断る企業も出てきました。
このように人手不足で従業員が働きやすい環境づくりは欠かせなくなっており、接客の現場は徐々に変わりつつあります。
介護事業も同様で、大切な従業員を護るために、顧客の理不尽な要求や暴力・暴言に対しては毅然とした対応が求められます。そして時には正当な理由によるサービス提供拒否も視野に入れなければなりません。
お客様だからと言って、理不尽なクレームや従業員攻撃に対してもサービス提供者が我慢せねばならないという考え方は間違っているのです。介護事業経営者や管理職もそのことをしっかり自覚して、従業員がとにもかくにも顧客にひれ伏さねばならないという考え方を改めなければなりません。
しかしカスタマーハラスメントに毅然と対応するという基盤は、日ごろから顧客に対しホスピタリティ精神を持って、マナーに欠けた対応をしないことだということを忘れないでください。
その理解がない事業者がカスハラ対策だけを超え高に叫ぶのは笑止千万であるだけではなく、社会の信頼さえ失いかねない状態を生みます。
例えばカスハラ対策と云いながら、実際には介護事業者が顧客に対してパワーハラスメントを行っている事例が見受けられます。
昨今の介護支援専門員不足の影響で、地域によっては要介護者の方が自分を担当する居宅介護支援事業所の介護支援専門員(※以下、居宅ケアマネと略)をなかなか見つけられないというケースが増えています。
それをよいことに、「自分の云う通りにしないと、あなたの担当はしません。別のケアマネを勝手に探してください」と高飛車で、恫喝的な対応に終始するケアマネもいるのです。
そのような態度はケアマネジャーによる利用者に対するパワハラそのもので、ケアマネジャーとしての資質以前に、人としての品性が疑われる問題とも言えます。
また利用者に対して、家族のように親しんでもらうために、顧客に対する対応とは程遠い馴れ馴れしく無礼な対応に終始する介護関係者も少なくありません。介護サービス利用者に対する、支援者のタメ口対応はその典型例です。

しかしそれは間違った姿勢であり、介護のプロとしては恥ずかしい姿であると云えます。
私たちが介護実践の場で求められている姿勢とは、家族のように遠慮ない関係で、馴れ馴れしく接してサービス提供することではないのです・・・対人援助とは「人権」を護ることを何よりも重要であると考えるべき場であることを忘れないようにしなければなりません。
その基本原則を守り続けて人の暮らしを豊かにするのが介護なのです。
しかしタメ口とは、「年下の者が年長者に対等の話し方をする」という意味でしかなく、「年を取って介護が必要になった身では、客である身にもかかわらず、年下のサービス提供者からタメ口対応されるのか。」と嘆く人を生む結果に繋がってしまいます。
知らず知らずのうちに誰かを傷つけてしまっているのが、サービスマナー意識のない無礼な馴れ馴れし対応なのです。
介護という職業は本来、目の前の一人一人の利用者を幸せにすることができ、その利用者の笑顔や穏やかな暮らしぶりを見る家族の幸せにもつなげることができるのです。このように無限に広がる幸せ樹形図を描くことができる職業なのです。
しかしタメ口対応をはじめとした、サービスマナー意識のない対応は、幸せ樹形図ではなく哀しみの樹形図を無限に広げる元凶になりかねません。
介護の介とは、「心にかける」という意味です。そして介護の護とは、「まもる」という意味なのです・・・。
どうぞそのことを忘れずに、いつもあなたの前の利用者を心にかけて護る人でいてください。
※メディカルサポネットの連載、「一心精進・激動時代の介護経営」の最新記事が2/21アップされました。

今回のテーマは、「離職防止〜従業員の定着率が向上する職場環境」です。文字リンクをクリックして参照ください。
※別ブログ「masaの血と骨と肉」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。
北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。
・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。
・masaの看取り介護指南本「看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。

新刊「きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは」(2021年10月10日発売)をAmazonから取り寄せる方は、こちらをクリックしてください。