我が国の高齢者介護を政策的に考える場合、2015年問題2025年問題2040年問題という3つの年代がキーワードとして挙がってくる。

団塊の世代がすべて介護保険の1号被保険者にである65歳に達する2015年問題と、それらの方のすべてが75歳以上の後期高齢者となって、要介護認定を受ける人もそれまで以上のスピードで増えると想定される2025年問題については既に迎え終え、それに対する政策はとり終えているわけである。(※失敗か成功かという結果はともかく・・・。

今後は高齢者人口がピークに達するであろうと想定される2040年実際のピークは2043年ごろと予測されている。)に向けた様々な施策がとられていく。
2040年を展望した社会保障改革
2027年度の介護保険制度改正や介護報酬改定議論も、2040年問題を念頭に置いた議論が展開されていく。

2025年以降は、75歳以上の人口増は落ち着くが85歳以上の人口が伸びていくことになる。そうなると高齢者の容態急変・寝たきりリスクが増加することになるが、同時に死者数もかつてない数に増えていくこととなる。

そのような形で多死社会を迎える我が国では、高齢者が老衰という自然死をどこで・どのように迎えるのかが重要なテーマとなってくる。

そうであれば在宅要介護高齢者を担当する居宅介護支援事業所の介護支援専門員(以下、居宅ケアマネと略)の重要な役割として、リビングウイルの視点から、担当利用者の終末期の医療や介護等に関する希望をくみ取り、それを代弁することが求められてくる・・・すなわち居宅ケアマネがACP(通称:人生会議)に積極的に関わる必要があるということだ。

こうしたACP(通称:人生会議)の取り組みを何とか報酬算定できるようしたい・・・これは決してシャドウワーク化させてはいけない部分だと思うからである。

ACP(通称:人生会議)の取り組みとは、人生の最終段階で受ける医療やケアなどについて、本人と家族などの身近な人、医療・介護従事者などが事前に繰り返し話し合う取り組みのことで、その過程全般を指すものであるが、その中で本人と家族・関係者が一堂に介して話し合いをするという機会は非常に重要になる。

そして本人が意思決定できる人については、その意思を確認することが最重要となるが、その意思とは心身の状態に応じて変化し得るために繰り返し話し合うことが重要とされている。

さすれば居宅ケアマネはプラン変更と再作成の度に、担当者会議を主催して話し合いの機会を持っているのだから、これを利用して本人と家族・医療関係者なども交えた「人生会議」を行った場合、「ACP加算」を算定できるとすればどうだろう。

主治医師が会議に参加しない場合は、人生会議の結果の情報提供で算定要件をクリアするとすればよい。主治医(かかりつけ医師)がいない場合は、医師意見書を書いた医師に情報を送ればよいだろう。

このように居宅ケアマネが主管する人生会議に対する介護報酬加算の新設を提言していきたいと考えている。
CBニュースの連載記事、快筆乱麻!!masaが読み解く介護の今の最新記事、補正予算での訪問介護支援は愚策が2/27にアップされました。
CBニュース・快筆乱麻masaが読み解く介護の今
今回は訪問介護支援策と介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方に関する通知内容について、両者を絡めて論じています。文字リンクをクリックして参照してください。


※別ブログ「masaの血と骨と肉」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。

北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。

・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。


masaの看取り介護指南本看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
きみの介護に根拠はあるか
新刊「きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは(2021年10月10日発売)Amazonから取り寄せる方は、こちらをクリックしてください。