通常国会では2025年度の予算案審議がヤマ場を迎えているが、そこで最大の争点となっているのは高額療養費制度の上限引き上げ問題である。
今更言うまでもないが、高額療養費とは年齢や所得等に応じた月額療養費の負担限度額が定められたもので、限度額を超えた医療費(※入院の際の差額ベッド代や食費等は除く)について、健康保険組合などから市町村窓口を通じて払い戻し(償還払い)されるものである。
高度医療の長期治療が必要な方々にとって、それは命綱と云える制度だ。
この高額療養費の見直し検討が始まったのは昨年の11月である。その背景には高齢化の進行と医療の高度化により高額療養費の増大がある。その為セーフティネットとしての役割を維持しつつ、健康な人を含むすべての世代の人の保険料負担を軽減する目的で負担限度額の引き上げが検討された。
ところがその検討は官僚内部にとどまるもので、ほとんど国民議論がないまま、今年8月からの段階的引き上げが12月に決定されてしまった。その法案が通常国会の予算案として審議されているのだ。
この案がそのまま通った場合、70歳未満で年収550万円の人の場合、月額医療費が100万円とした際の段階的な自己負担増加額は以下の表の通りである。

また2027年8月以降の70歳未満の所得別負担限度額は以下の表の通りとなる。

こうした引き上げはがん治療が必要な人や難病治療が必要な人など、長期間にわたり治療が必要な人に大きなダメージを与える。
その為、がん患者の団体等が国に限度額引き上げ案の撤廃・見直し等の要望書を挙げているが、通常国会当初の首相答弁では、「見直しの余地はない」とゼロ回答であった。
それに対して高額療養費制度の上限引き上げによって、経済的理由で治療を途中で中止せざるを得ない人が出てくるなど、自分の命をあきらめなければならない人が出ることが想定され、あまりにも国民の命を軽視している姿勢であるとの批判が盛り上がった。
そして様々な団体も高額療養費制度の上限引き上げ反対の声を挙げるようになった。
遅きに失した感もあるが、日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)に加入している4団体(日本社会福祉士会・日本精神保健福祉士協会・日本医療ソーシャルワーカー協会・日本ソーシャルワーカー協会)も2/10、連名で「高額療養費制度の見直しに関する声明」を発出した。
このような様々な団体の反対の声を受けた野党が、高額療養費の引き上げの凍結を最大目標にするなどして議論が進められた結果、厚労省も一部引き上げ案の見直しに着手している。
だがわずかな修正でお茶を濁して終わりという結果は許されない。
国は上限引き上げについて、セーフティネットとしての役割を維持したうえでの改正であるというが、負担上限を引き上げるということは、セーフティネットの網の目を広げるという意味である・・・そこから零れ落ちる人が必ず生まれるという意味でもある。
物価高で実質賃金が下がり、国民の懐事情は決して豊かではない中での自己負担増は、致命的な結果になりかねないのだ。
だからこそ今回の高額療養費制度の見直し法案は一度廃案にしたうえで、改めて国民議論の俎上に載せてほしいと思うのである。
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感動の完結編。

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