今日は建国記念の日である。この祝日の由来は、神武天皇の即位日ということであるから神話の世界である。だとしても祝日で休みをとれる分には由来は何でも良いだろう。

暦通りに勤務する一般職の方々は、週初めの月曜に出勤した翌日にすぐ休みとなって、なかなか調子が出ない週かもしれない・・・とはいっても休みをとれることを嬉しく思わない人はいないだろう。

フリーランスの僕は、そうした暦に縛られず働いているが、10年前のサラリーマン時代のことを思い出すと土日以外の祝日は、どの曜日のどの並びにあっても有り難いものだった。

とはいっても介護施設等の直接介護職員は、世間の暦とは関係なくシフト勤務している人が多い。そういう人たちには本当に頭が下がる思いだ。

土日祝祭日に関係なく、要介護者の方々に寄り添って手を差し伸べる人がいなくなるとしたら、要介護者自身が困るだけではなく、その人たちの介助のために休みを返上しなければならない身内の人にも大きな影響を与える・・・それはやがて社会全体の活動低下につながってきて、市場経済にも大きな影響を与える。
介護人材不足
そういう意味で、介護事業や介護人材は国のセーフティネットそのものである。それが綻(ほころ)ばないようにするのが政治の役割ではないだろうか。

しかし実際にはこの国の政治は、介護にはあまり関心を向けていない。その為社会のセーフティネットである介護の綻びがジワジワと社会全体に
広がりつつある・・・介護人材が不足から枯渇へと向かいつつある現状は、全産業平均賃金と介護従事者の平均賃金に大きな開きがあることが最大の理由である。

ここにきちんと政治介入しないと、日本という社会そのものが大きな病巣にむしばまれることに気が付くべきである。

例えば介護施設等の現状を見ると、介護人材が不足しているために多様な働き方を推奨する職場が増えている。そのため日中のみのパート勤務を希望する人や、いわゆる介護助手として働いている人も増えているが、それらの人たちは土日祝日に休みを取りたいという希望を持っている人が少なくない・・・そうした人が多い職場では、正規職員でシフトを回さざるを得ない。

その為に、土日祝祭日は平日より少ない従業員での対応を余儀なくされ、十分な利用者対応ができなくなっている施設も無きにしも非ずだ・・・。

そのように一部の職員に過重な負担をかけてシフトを無理やり回す影響は、土日祝祭日のみに限らず全日に及んでくる。いつしか介護従事者すべてが疲弊し、介護という行為が限りなく作業化され、利用者の表情や感情を無視した機械的対応に終始する状態が生まれている。

僕が管理する介護福祉情報掲示板には先週、「深刻な人手不足です」というスレッドが立てられているが、そこに張り付けられている記事リンクでは、人手不足と施設の管理不行き届きが原因で、入所者へのケアが十分に行き届かなくなり、不潔な環境でやせ細った利用者自身が、家族に「助けて」と悲痛な電話連絡をして退所に至ったという報道記事が紹介されている。

こういう悲鳴が全国の介護事業者で数多く湧き上がってくるとしたら、介護事業はもはや荒野である。

それは日本という国が未来の見えない荒野に陥るという意味でもある。そうしないための政治が行われることを願ってやまない。


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