2024年度の介護報酬改定では、施設サービスに適用されていた身体拘束廃止未実施減算が短期入所系サービス及び多機能系サービスまで拡大された。

同時に身体的拘束等の適正化のための基準が設けられていなかった訪問系サービス通所系サービス福祉用具貸与特定福祉用具販売及び居宅介護支援について、利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならないこととし、身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録することを義務付ける省令改正が行われた。

ここで疑問になるのが、なぜ居宅介護支援事業所にも、この規定が設けられたのかということである。

居宅介護支援は、介護に関連する利用者の相談援助に携わり、利用者に直接面接してアセスメントを行い生活課題等を抽出するが、だからと言って直接的に利用者に居宅サービスを提供するわけではなく、あくまで利用者の生活課題解決につながる介護保険サービスをはじめとした社会資源を結びつけ、そのスケジュール管理を行うものである。

よって居宅介護支援事業所の担当介護支援専門員が、利用者の身体拘束を行うという状況自体が想定しずらい・・・にもかかわらず、なぜ身体拘束廃止規定をわざわざ設けたのであろうか。

おそらくその答えは、居宅サービスチームの扇の要役ともいえる居宅ケアマネに対して、身体拘束を予防する高い意識づけを持ってもらいたいということではないだろうか。
例外的な身体拘束の条件
上の図のように、身体拘束を例外的に行うことができる条件は、切迫性非代替性一時性という条件があるという判断に加え、定められた極めて慎重な手続きを踏まなければならない。

居宅ケアマネはこのことを理解したうえで、居宅サービス計画に位置付けた居宅サービス事業者が、こうした条件や手続きに基づかない身体拘束を行っていないかを監視するとともに、例外的に身体拘束を行わざるを得ないケースについても、拘束の解除に向けたアセスメントを手助けする必要があることを示しているのではないだろうか。

身体拘束の廃止は、身体拘束せざるを得ない特段の事情を洗い直し、そうした状況を改善することが拘束解除に結びつく。

例えば胃瘻造設している方で、胃ろう部をいじる行為が頻繁に見られるために、ミトン手袋を装着しているケースについては、そもそも胃婁による経管栄養が本当に必要かということから考え始める必要がある・・・医師と相談の上、看護職員が摂食機能訓練を行うこととし、実施から2月後に全粥・ソフト食が食べられるようになったケースもあるのだ。

歩行不安定でスイング式車椅子を使用し、角度をつけて起き上がれない状態で1日を過ごさせていたケースでは、歩行状態を改善する生活リハビリ(トイレ誘導の際にできるだけ歩行移動するなど)を行い、歩行状態が改善されたことでスイング式車椅子に寝かせっきりの状態を解消させた。そのことによって対象者の表情も豊かになり、発語も増えたという副次的効果も生まれたというケースもある。

このように居宅ケアマネに対して国は、居宅サービスチームの頭脳役として、拘束廃止の司令塔としての役割も持ってほしいというメッセージを送ってるのだろうと思う。


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