先週1/30、立憲民主・日本維新の会・国民民主の野党3党が、介護や障害福祉に携わる人材の確保を目指し、賃上げのための助成金を事業者に支給する法案を衆院に共同提出した。
与野党勢力が拮抗する中で、野党提出の法案がどれほど影響を与えるのかは不透明であるが、法案審議の中で介護人材等の待遇改善の必要性が審議に昇り、国として対策しなければならない問題であることが改めて公(おおやけ)になる点では意味があることだと思う。
しかしその法案内容は、「1人当たり平均月額1万円の処遇改善を想定する」というものである・・・たかが一万円、されど一万円という考え方もあろうが、その金額の低さにがっかりした関係者も少なくはないだろう。

この法案提出と同じ日に公表されたUAゼンセン日本介護クラフトユニオン(NCCU)の調査によると、月給制で働く介護職の昨年7月の平均月給は26万5711円で、全産業平均との格差は6万4489円となっているという。
2023年時点でのボーナスなどを含む年収でみると、その差は110万8400円とされているので、昨年の年収差は130万円程度に広がっているのではないかと思われる。
これだけの差があると月額1万円・年額12万円の助成は焼け石に水としか言いようがない。他産業が春闘で大きなベースアップを実現させていることと見比べて、介護事業の将来に見切りをつける人が多くなる金額と思えてしまう・・・もっと思い切った賃上げ助成が求められるのではないだろうか。
月額1万円は入り口だというが、入り口の額が低ければその後の伸びもわずかなものにしかならないだろう。それでは全産業との給与格差は永久に解消できない。
介護人材の給与がなかなか上がらない理由の一つは財源論だろう。
しかし介護という職業が、社会のセーフティネットであることをもっと真剣に考えてほしい。誰もが安心して暮らすことのできる社会としての基盤が、心身に障害を持った人を社会で支えるというベースによって成り立つことを理解せねばならない。
経済政策を優先させて景気をよくすることが大事だといっても、介護離職が経済を停滞させる要因になることははっきりしているのだ。しかも現在の我が国は、全産業で労働力不足に陥っており、それに介護離職が加われば、益々経済停滞は深刻化しかねない。
だからこそ介護というセーフティネットが崩壊しないように、そこで働く人の待遇を全産業平均まで引き上げて、人材を確保していかねばならない。
財源、財源というが、それを語る国会議員は自ら痛みを負うことがない形で財源論を語っている。我が国は既に人口減少社会に入っているのだから、国会をはじめとした各都道府県・市町村議員の定数は減らすべきであり、その議論も進めなければならないはずだ。
そんな議論がされないまま、社会のセーフティネットの網が破れるのを傍観しているような政治は亡国につながるものでしかない。そんな政治も政治家も、国民が真に求めるものではないと云いたい。
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