介護保険制度が創設された当時、特養は措置から契約に時代に変わると云われ、それまで被措置者とか入所者とか言われていた方々を、「利用者」と呼ぶように指導された。

それが大きな間違いだったと僕は思っている。

この時にきちんと、介護サービスを利用する方々は単なるユーザーではなく、「お客様」であると呼び、介護事業関係者のすべてにサービスを利用する方々は顧客であるという意識を植え付けるべきだったと思っている。

それをしなかったツケが今随所に現れており、顧客意識を持てない従業員による利用者に対する不適切なタメ口対応・横柄な態度で乱暴に行われるケアがいつまでたってもなくならない。
顧客対応
そもそも顧客(こきゃく)とは、自社の商品やサービスを買い求めに店を訪れる人、あるいはサービス提供を必要としている人(需要者)を指す言葉である。介護事業で言えば、介護サービスを利用する人、利用を必要としている人はすべて顧客である。

そしてそうした顧客が存在することによって、介護事業者は収入(介護給付費及び利用者自己負担金)を得て事業経営できるし、職員はその収入を原資にした給与を得ているわけである。

そうした状況を理解して、介護サービス利用者=顧客であるという意識を持つことができない輩は、相当のへそ曲がりか、脳みそが腐った人間としか言いようがない・・・しかしそうした輩がタメ口対応がフレンドリーな関係を生むとか、家庭的で親しみやすい関係につながると考得ているのだ。そうした知性の低いバカ者どもが利用者の心をあらゆる場面で傷つけている。

そしてその延長線上に毎月のように全国のどこかの介護事業者における虐待報道に繋がっている。そうならないようにするための方策の一つとして、介護事業者で日常的に使っている「用語」を変えてみるという手がある。

例えば入所施設や短期入所の「入退所」という言葉・・・これはいまだに収容などの負のイメージが付きまとう言葉に思える。この言葉を「チェックインチェックアウト」と変えるだけで、従業員の意識の変化が見られるようになった施設もある。

先日、僕がサービスマナー講演講師として訪れた社福でも、この言葉を推奨して実践したところ、朝礼等の引継ぎ時に、従業員がごく当たり前のように、「本日○○時に、○○様がショートチェックインします」・「ショートステイの○○様は、本日○○時にチェックアウト予定です」とアナウンスされ、それに伴って従業員の顧客対応のマナー意識が向上したとの報告があった。

さらに顧客である利用者や利用者に対しても、「本日○○時にチェックアウトしますので、ご自宅に○○様が到着する時間は○○時の予定です」というふうにアナウンスすることに繋がって、利用者や家族もまるでホテル利用しているような気分になり喜ばれているという報告もあった。

そんな小さなことから意識の変化が生まれる可能性があるので、試してみてはいかがだろう。


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