本日午後、自宅から3時間のオンライン講演を配信する予定である。
その講演は、京都地域包括ケア推進機構・一般社団法人京都府老人福祉施設協議会、・一般社団法人京都市老人福祉施設協議会の3団体が共催する、「施設看取り介護導入研修」として行われるもので、令和元年度からこの研修講師役を務めるようになって今年度(令和6年度)で6年目となる。
最初にこの研修講師を務めた令和元年は、京都市内で講演3時間+GW1時間×2日間=講演6時間+GW2時間の合計8時間研修というスケジュールであった。
しかしその翌年からコロナ禍が始まり、緊急事態宣言が出るなどして会場講演ができなくなった。
その為、2年目の講演からオンライン対応となったため、GWなしで合計6時間の講演を2時間×3日間の日程で行っていた。しかし特養で働く看護職員・介護職員は、忙しい業務の合間を縫って短期間に3日間も業務を抜けて2時間講演を受講することが難しいという声が挙がったため、令和4年度からは3時間講演×2日間の日程でオンライン講演を行っている。
今年度も季節性インフルエンザや新型コロナ感染症が流行っている状況に配慮して、オンライン講演3時間講演×2日間の予定を組み、今日がその初日ということになる。
長時間のオンライン講演は集中力の維持が難しくなるので、適時に休憩を入れる必要があると思う。3時間講演の場合は55分講演受講+10分休憩+55分講演受講+10分休憩+50分講演受講といったスケジュールを組んでいる。
多死社会を迎えた我が国では、国の見込みを上回り2023年の死者数は157万6.016人となり、前年比で6.966人増えて死者数・増加数共に戦後最多となっている。特に老衰死が増えている現状を鑑みると、医療機関で治療が必要でない人を、住んでいる場所で最期の瞬間までどのように支えるのかが問われてくる。
それができない状態で亡くなる人を看取り難民と呼ぶことになり、そうした人をできるだけ生まない対策が求められているのである。
だからこそ介護関係者には、看取り介護は、「する・しない」、「できる・できない」と判断するような問題ではなく、日常介護の延長線上に、ごく普通に看取り介護の実践があって当然であると考えるべきであるという認識を持ってほしい。
看取り介護スキルは、介護関係者が当然備えておくべきスキルなのである。
そのためこの研修は、単に看取り介護の方法論を知るためだけの研修ではなく、看取り介護加算を算定するための要件確認をするためだけのセミナーにしないように心がけている。
看取り介護・ターミナルケアに対する考え方の基本とは、「介護」の在り方そのものを考えることであり、その過程で「命」・「尊厳」に寄り添う姿勢を問い直す研修であると考えてほしいのである。

講演内容は以下の通りである。
(初日)
・看取り介護とはどのような介護か
・介護施設で看取り介護が求められる背景
・看取り介護に備えるために必要とされるリヴィングウイルの支援とは何か
・死を語る意味とは愛を語ることに他ならない
・看取り介護の開始から終了までの手順
・判定〜説明同意〜計画作成〜連絡・連携〜実施〜終了〜評価までの具体的な流れ
・必要な書式
・看取り介護加算の算定要件
・求められるPDCAサイクル
・重要となる医師の責務〜終末期判定と余命診断
(2日目)
・看取り介護の具体的方法
・看取り介護計画作成のポイント
・職員のメンタルケア
・遺族のグリーフケア
・介護施設で行われた看取り介護の事例
・看取り介護の今後の課題〜Withコロナの人生会議と看取り介護
・スピリチュアルペインの受容
・命の尊さを理解しながら看取り介護に関わる姿勢
・感染予防対策下の看取り介護について
本物の看取り介護の実践は、地域住民から選ばれる介護事業者に繋がり、志の高い介護人材からの募集応募が増え、定着率高まる効果に繋がることも伝えたい。
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第2回は、「介護事業者のカスタマーハラスメント対策を考える」です。カスタマーハラスメントへの毅然とした対応は介護業界でも重要な課題です。ハラスメントにより心身が傷ついてしまった職員が休職や退職に追い込まれてしまうことは避けなければなりません。しかしそれと同時に、利用者の正当なクレームを見逃すことなく、丁寧に対応することも重要です。そのような職場を作るためにはどのような考えや行動が大切か解説します。文字リンクをクリックして参照ください。
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