昨日から函館に滞在している。今回は、「函館介護福祉道場あかい花・第2弾を開講します」で紹介した2講演を行うための来函である。
食材の宝庫と言える函館での昨夜の僕の、「孤独のグルメ」については、「ほっけ、〜どーは何でもうまいぞ。」で紹介しているので、ぜひ参照してグルメ人気ブログランキングの文字をクリック応援いただきたい。
昨日の講演と、今日午後5時半から予定している120分講演とは、函館市主催・平成6年度介護人材確保・育成促進事業として行っているものだ。
いまさら言うまでもなく介護事業の最大の悩みは人材確保である。特に最近は人材不足が顕著で、「募集をかけても全く応募がない」という声を様々な地域で耳にすることが多くなった。
それは決して印象だけではなく事実であり、それが証拠に、「介護人材は不足から枯渇の流れに・・・。」で示したように2023年10月10日時点の調査数では、介護職員数が前年比で2.9万人減少していることが明らかとなっている。
介護保険制度開始以後、初めてその数が減少に転じるというショッキングな事実が存在しているのだ。
その最大の要因は、少子高齢化が解消せず、我が国の生産年齢人口が減少し続けているからであることに他ならない。
それに加えて介護業界の事情としては、介護保険制度から25年の時を経て、制度誕生時に介護事業者の中心的役割を担ってきた40歳代だった人々が定年リタイヤする時期を迎えていることも大きい。

そのような中で、全産業で労働力不足が顕著となっている今日、産業間での労働力の奪い合いも顕著となっている。当然、そのために労働対価を引き上げて人材を確保する動きが活発化しているわけである。パート職員の時給も1.200円〜1.300円という単価が普通になっている。介護事業はそれについていけるのか・・・。
今月22日に事実上始まった2025年春闘では、物価高や人手不足を受け、昨年に引き続き賃上げが必要との認識で労使双方が一致している。この流れに介護事業者も乗ることができないと全産業平均賃金との格差は益々広がり介護事業に人が来なくなる。
報酬改定アップのない厳しい状況ではあるが、介護事業経営者は知恵を絞って賃上げに努めなければ顧客がいても、サービス提供者がいないことが理由で廃業しなければならなくなる。そうならないように従業員の給与・待遇改善を最大の目標として取り組みを行わねばならない。
例えば、「SOMPOケアの介護職賃上げ方針について」で解説したように、一民間企業が全産業平均までの賃上げの取り組みを行おうとしている。
国に頼らずに賃上げ財源をねん出して、人材確保に取り組もうとする企業も存在しているという事実に向かい合うとき、それに手をこまねいている介護事業は淘汰されかねないのだ。
そうであれば、特に社会福祉法人は税制上優遇されているのだから、非課税分が賃上げ財源だと考えて、更なる給与改善に努める必要があると思う。社会福祉法人のトップは、いつまでも経営をせずして、運営だけしておればよい時代ではないことに気が付くべきだ・・・いや、今更気づいても遅いかもしれない。
僕が知る限り、「このようなトップを仰いでいては持たない」と思える社福はかなりの数に上る・・・そういう法人の従業員は不幸であると思う。
どちらにしても、臨時の介護報酬改定や物価高に対応する補助金なんて期待できないのだから、顧客をハートをつかんで、顧客数アップで収益アップを図り、従業員の待遇改善に努めていくことが介護事業経営上必要不可欠であることを肝に銘じてほしいと思う。
※メディカルサポネットの連載、「菊地雅洋の一心精進・激動時代の介護経営」の第2回記事が本日アップされました。

第2回は、「介護事業者のカスタマーハラスメント対策を考える」です。カスタマーハラスメントへの毅然とした対応は介護業界でも重要な課題です。ハラスメントにより心身が傷ついてしまった職員が休職や退職に追い込まれてしまうことは避けなければなりません。しかしそれと同時に、利用者の正当なクレームを見逃すことなく、丁寧に対応することも重要です。そのような職場を作るためにはどのような考えや行動が大切か解説します。文字リンクをクリックして参照ください。
※別ブログ「masaの血と骨と肉」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。
北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。
・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。
・masaの看取り介護指南本「看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。

新刊「きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは」(2021年10月10日発売)をAmazonから取り寄せる方は、こちらをクリックしてください。