介護事業者内で、利用者に対して虐待行為を行い逮捕された犯罪者が、「虐待の原因は仕事のストレスである」と供述している報道に接する機会は少なくない。
そしてその報道を鵜呑みにして、介護という職業はストレスの多い職業であり、そのことが虐待行為の大きな原因になっていると信じている人も少なくはない。
確かに介護という職業は、利用者と直接向かい合って身体介護を行ったり、間接的に生活支援を行う仕事であるために、相手をポジティブな状態へ導くために、自分の感情を抑制または促進し、表情や声・態度でシーンに合った感情の演出を求める仕事である。そうした仕事は感情労働とも呼ばれ、神経の疲れる仕事であることは間違いがない。

だからと言って感情労働は介護という仕事だけではない。販売員といったサービス業をはじめとした多くの仕事が感情労働であり、介護という職業が、他の職業と比べて特段ストレスがかかる仕事であることを証明するデーターは存在しない。
仕事が原因でうつ病になる人は少なくないが、そうした症状が原因で精神科医療機関に入院している人に占める介護職の割合が多いという事実も存在しない。
僕は40年以上社会福祉法人に勤めていたが、その母体は精神科医療機関であった。その僕が抱いているイメージでは、精神科に入院している「うつ病」の方で、仕事がその原因となっていると思われえる人の多くは、売上目標などのノルマを課せられ、かつ上司からパワハラまがいの命令を受けていた人である・・・少なくとも介護職は、数字的ノルマとはあまり関係が深くないために、それが原因でうつ症状を呈する危険性は低いと思われる。
どちらにしても、「仕事上のストレス」が皆無であるという職業はない。そして多くの職業人は、仕事上のストレスとうまく付き合い、程よくストレス発散させているのだ。
介護の仕事に就いている人の誰もがストレスを抱える可能性があるが、そのはけ口を利用者虐待という形に求めることは、「当然」でもなければ、「よくあること」でもない。介護のストレスを虐待の理由にするのは単なる言い訳に過ぎず、そうした理由を述べる人は対人援助サービスのスキルがない人間であるという証明でしかないと思う。
そうした人間は、人にかかわらない他の職業を探すべきである。
とはいっても、介護という仕事は利用者の感情と向き合う職業でもあることは事実だ。利用者のストレスや怒りとも向き合わねばならず、その感情が介護支援者にも移るリスクも少なくはない。
そしてストレスや自らの心に湧きあがった怒りといった感情が、介護という仕事のパフォーマンスを低下させる可能性も否定できない・・・ひどいストレスに耐えきれず、精神的ダメージを負う人も居るだろう。
そうしたことを防ぐために、ストレスコーピング(※ストレスを感じた時の問題の捉え方や、ストレスの要因や自分の感情への働きかけによるストレス対処法のことを指す言葉)やアンガーマネジメントについて学ぶことが重要である。
僕はストレスコーピングとアンガーマネジメントの講演も様々な地域で行っている実績を持っている。
有効なストレスコーピングとはどのような方法か、逆に効果がないばかりではなく、新たなストレス発生要因ともなり得るやってはいけないストレス発散法・・・例えば利用者虐待という形でのストレス発散によって、何が起こるかなどを解説している。
アンガーマネジメントについても、具体的な方法論と共に、その基盤は自己覚知に努めることであることにも触れて解説している。
これらの内容は、新入職員が入職時に受ける研修内容として是非入れておいてほしいものだ。それが定着率の向上にもつながるからである。
ということでストレスコーピングとアンガーマネジメントに関する講演を希望する方は、あかい花公式サイトの右上に表示されている✉マークをクリックして問い合わせいただきたい。
メールのやり取りで詳細を検討したうえで、正式依頼するか、依頼しないかはその結果で決めて構わないので、まずは問い合わせをしていただきたい。
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