僕らの世代は、「成人式は1/15に行われ、新成人は20歳である。」という感覚しかないが、現状はそうではない。

介護保険制度が施行された年と同年である2000年に、成人の日は1/15〜「1月の第2月曜日」に変更されている。さらに2022年4月1日、成年年齢を20歳から18歳に引き下げることを内容とする、民法の一部を改正する法律(平成30年法律第59号。以下「改正法」)が施行され、成人年齢は18歳となっている。

ただし多くの市町村では、成人式の出席年齢は20歳としているようである。
新成人
さてそんな成人の日に考えてみたいことがある。

総務省が昨年12/31に公表した2025年1月1日時点の人口推計によると、06年生まれの新成人(18歳)は109万人だったそうである・・・この数字は24年よりも3万人増えたものの、過去2番目に少なく少子化の流れは止まっていないことがわかる。

総人口1億2359万人に占める新成人の比率は8.1%でしかない。(出生年別に見ると、2025年中に60歳になる昭和40年(1965年)生まれの人が174万人でもっとも多い。)

つまり少子高齢化は現在進行形であるということであり、高齢者の「支え手」が財政・サービス両面で急速に縮小していく状況に変化はないということだ。

その対策として国は、入管法を改正するなどして日本人に替わって外国人材を活用できる仕込みを取り入れ、今後は国が大きく人口も多いインドからの介護人材受け入れ拡大に期待を寄せている・・・しかしそのことにどれだけの効果が見込めるのかは未知数だ。

他産業との給与格差が拡大しつつあることから、若年労働者の介護離れも問題視されるようになっている現状から言えば、人材確保は益々厳しい状況に陥っていくことが予測される。

僕が住む北海道の事情はより厳しい・・・千歳市に建設された、大手企業8社から73億円の出資を受け、政府からも700億円の支援を受ける半導体メーカー「Rapidus(ラピダス)株式会社」の第一工場が本年中に試作ラインを立ち上げることになっているからだ。

北海道の空の玄関口である千歳市に国を挙げて支援する大企業ができるために、その周辺市町村にも関連企業が続々と誕生しつつある・・・そしてそれらの企業は、こぞって好条件で労働者を集めている。

そうした企業に雇用される可能性のある若者は、わざわざ待遇が悪いと云われ、労働環境も厳しいと云われる介護事業者に就職動機を持ってくれるだろうか・・・。

僕が住む登別市から千歳市へは、自家用車で一般道を走っても90分で着く距離にある。

そうであれば登別市に自宅がある若者は、地元登別市の介護事業者で働こうとするより、同じ道内の千歳市にある将来性のある大企業で働きたいと思う人が増えるのではないか・・・そう考えると益々、道内の介護事業者の募集に若い人たちが応募しなくなり、介護人材の確保はさらに困難となることが確実であると云える。

その為に、介護事業における生産性の向上が求められているといっても、力のいる動作と巧緻性が必要とされる動作を連続的につなぎ合わせなければならない介護という行為は、テクノロジーが代替できない領域が多く存在し、人手をかけなければできないことが多いのだ。

それに対する有効な処方箋は存在しないといってよい。

だから・・・成人の日は若者にとっては祝いの日であるが、介護事業関係者・・・特に経営者や管理職にとっては、「憂いの日」でしかない。


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