昨年12月27日に厚労省は、2023度の高齢者虐待の実態把握の調査最新結果を公表した。
それによると介護サービス事業所・施設の職員による虐待の相談・通報の件数は3441件あり、実際に虐待だと判断されたケースは1123件にのぼった。亡くなった方も5人いたという。
相談・通報の件数、虐待判断の件数はいずれも3年連続の増加で、これまでで最も多かった前年度を大幅に上回り過去最多を更新している・・・介護報酬改定で虐待防止未実施減算という恥ずべき減算が新設されるのもやむなしといえる状況だ。
職員による虐待の3大発生要因は以下の通り示されている。
1. 知識・意識の不足=77.2%
2. ストレスや感情コントロールの問題=67.9%
3. 倫理観・理念の欠如=66.8%

本当にそれが虐待の理由かどうかという真偽はともかくとして、2と3の意味は分かる。(※虐待の理由がストレスであるなんて言うのは言訳でしかないと思う。虐待を行ってストレス解消ができるなんてことはないし、そもそもストレスのはけ口を利用者虐待に向ける輩は介護に向いていない人であり、人として未成熟な人間でしかない。)
しかし1の知識不足はどうだろう・・・虐待に至る理由が、「意識の欠如」ならわかりやすい。そうではなく知識不足とはどういう意味かと考えてみた。
僕が考える、「知識不足」の最たるものとは、そもそも介護サービスを利用する方々は、単なる利用者ではなく顧客であるという知識に欠けているのではないかということだ。
私たちは介護サービス利用者が存在することで、介護給付費等を収入として得ることができているわけであり、利用者の方々の存在によって生活の糧を得ているのだ・・・よって介護サービス利用者は、単なるユーザーではなく顧客そのものである。
そしてそれらの方々にタメ口で対応する介護関係者に欠けている知識とは、タメ口は親しみを表現する言葉遣いではなく、年下の者が年長者に対等の話し方をすることであり、顧客に対しては非常に失礼な言葉遣いであるという知識ではないのだろうか。
横柄な態度や無礼な言葉遣いは、しばしば人権侵害につながる問題を引き起こしている。人権侵害という結果をもたらした後その際に、「そんなつもりはなかった」という言い訳は、なんの免罪符にもならない。
だからこそ相手から誤解されない対応の基盤となる、「サービスマナー意識」が求められるのだ・・・そうした知識を身に着けなければ、介護事業者における虐待はなくならないのではないだろうか。
大事な事は、言葉遣いを丁寧にすることによって、お客様によそよそしさを感じさせることを恐れるより、お客様に対して無礼で馴れ馴れしい対応で、尊厳や誇りを奪い心を殺してしまうことを恐れるべきであるということだ。
今日も午後から顧問先の従業員に対してサービスマナー研修をオンラインで行う予定がある。
今月24日(金)に函館中央図書館で行う、「函館介護福祉道場 あかい花」の管理職・リーダー向け研修でも、「介護事業におけるサービスマナーを考える〜管理職・リーダーが目指すべき利用者から選択される介護の質」というテーマで講演を行う予定がある。
是非そうした機会に改めて、顧客対応として筆よな知識である、「介護事業に求められるサービスマナー」について学んでいただきたい・・・特に函館講演は、どなたでも無料参加できる講演なので、文字リンク先の案内文を読んで、添付されている申込用紙で受講申し込みをしていただきたい。
介護支援を必要とするお客様に対する丁寧な対応によって、介護関係者の方々が誰かのあかい花になることができるように、是非僕の話を聴いていただきたい。
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