(※『シャドウワークの本来の意味は「必要な仕事」』より続く)
居宅ケアマネのシャドウワークに関連して、ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会が公表した中間整理では、利用者・家族のニーズに応える努力の結果として大きく広がったケアマネジャーの業務を大きく4つに分類して示した。
その分類は、「法定業務」・「保険外サービスとして対応し得る業務」・「他機関につなぐべき業務」・「対応困難な業務」とされている。(※下記画像参照)

法定業務については、居宅介護支援事業所の本来業務そのものが示されている・・・問題はその他の3分類である。
保険外サービスとして対応し得るとされたものは、下記の通りである。
◯ 郵便・宅配便の発送・受け取り
◯ 書類の作成、発送、代筆、代読
◯ 救急搬送時の同乗
上記の行為は保険外サービスとして利用者から費用を徴収できるわけである。しかし実際にこれらの行為を行って費用請求できるかと言えば、それは簡単ではない。
現行でも介護更新申請などは、別途費用請求できることは広く認識されているが、実際にはサービスとして無料で更新申請代行している居宅介護支援事業所が多い。そうした費用を請求すると、無料サービスとしている他の事業所に顧客をとられる可能性があるからだ。上記の行為も同じように、実際には競合他社との兼ね合いから、費用請求することをためらう事業所が多いのではないか。
特に、「救急搬送時の同乗」については、『命の危機に陥っている利用者から金を搾り取るのか』という批判につながりかねない・・・そのため道義上の問題として費用請求ができないと考える関係者が多いのではないだろうか。
しかもこれらが費用請求できる行為とされたことは、それらの行為は居宅ケアマネが行うべき行為と誤解されかねない。救急車の同乗も費用徴収の有無にかかわらず、ケアマネがその責任において当然すべき行為と認識されかねないのだ・・・しかしそうではないと強く訴えておきたい。
また、「他機関につなぐべき業務」については、保険外費用を請求できない行為であるとされるわけだが、実際には他機関がつなげられるのを拒むケースが想定される。
例えば身寄りのないひとり暮らしの利用者の、「入院中の着替えや必需品の調達」は、入院先の医療機関が行うべきだとしてつなげようとしても、医療機関側がそれを拒んで、「ケアマネが協力してくれないなら入院させられない」と告げられるケースは決して少なくない・・・こうしたケースは、今後もただ働きしなければならないことが、今回の分類で確認されたに過ぎない。
「対応困難な業務」として示された医療同意については、それを分類して示して何の意味があるのかと云いたい。医療同意及び身体の侵襲行為の同意権は、成年後見人にも与えられていない。
さすればこの問題の本質にしっかりアプローチするのが先ではないのか・・・つまり意思表示のできない人に対する医療は、医療行為を行う医師や医療機関が最善の方法を選択して実施できるとして、医療同意を求める必要がないような基盤・土壌づくりをしなければならないということだ・・・こんなことをケアマネの業務分類として示しても全く意味はないと云いたい。
ということで今回の業務分類は、居宅ケアマネにとって何らメリットのあることではなく、意味がないどころか、かえって問題を複雑にして考えなければならなくしたという結果にしかすぎないように思う。
本当に馬鹿げているとしか言いようがない。
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