僕は介護保険制度開始から丸2年を経た2002年4月〜登別市の介護認定審査委員を拝命しており、合議体の副長として毎回審査会での司会進行役をつとめている。
正長と副長は同じ審査会に参加せず、交代で別々に審査会に参加し司会進行役を務めることになっている

登別市の介護認定審査委員会は4合議体あり、毎週木曜日の18時から2つの合議体によって審査会が行われることになっている。だが前述したように正長と副長が交代で審議の進行役を務めるため、僕が審査に参加するのは4週に1回ペースである。(※他の委員も同様である。

今日はその審査会の予定日であったが、審査数が少なく僕の合議体は開催しないことになった。

実は先月も開催予定の審査会が中止とされた。理由は今回と同じく判定件数が少ないために、1つの合議体のみで審査ができるからである。
介護認定審査会
2024年11月末現在の登別市の人口は43.691人で、高齢化率は令和3年3月31日現在で37%であったから、今現在は40%を超えていると推察される。当然要介護認定者数も増えていると思われるが、ここにきてなぜ介護認定申請件数が減っているのだろう。

これはおそらく2021年4月〜介護認定期間の最大延長が4年(48カ月)に引き延ばされた影響によって、更新認定の審査数が減っているためであろう。

このことは決して悪いことではない。むしろ更新件数が増えて、審査が間に合わずに申請から30日を超えても認定が下りないケースが増えると、申請者が要介護状態区分が不明のまま、サービスを暫定利用しなければならなくなるなどの不利益が生ずるのだから、こうしたケースの減少につながる審査件数の減少はよいことだ。

介護保険法では、介護認定の基本原則は申請から30日以内にしなければならないとされている。ただし特別な理由がある場合は延期することも可能としており(介護保険法第27条第11項)、介護認定者数が多い都市部では、認定有効期間を過ぎてから認定審査結果が出される例も少なくない。

この問題が9日の社保審・介護保険部会で取り上げられた。特別な理由による認定遅れが常態化して申請から認定までの期間が長期化しているというのである。

2022年下半期の直近データによると、利用者の申請から認定までにかかる期間は平均で40.2日となっており、法律で定められている原則30日以内を大幅に上回っている。平均が30日以内の市町村は、全体の5.6%(97市町村)にとどまることも明らかにされた。

これらの状況を改善するために審査会(合議体)の数を増やしても、保険者の事務処理が回らなくなるので、それは現実的ではない。さすれば認定期間の更なる延長という案が出てくるかもしれないが、度重なる延長の結果は何を示しているのだろう。(※当初は認定期間は半年が最長で延長はなしだった。それが20年という長い月日をかけて12カ月、24か月、36か月、48か月と段階的に延長されてきた。

それは期間がいくら長く延長されても、利用者の不利益にはならないし、何の支障もないということだ

そうであれば要介護認定廃止議論に欠けている視点で指摘しているように、認定期間そのものを廃止すればよいのである。

区分変更申請できるのだから、介護保険施設もしくは居宅サービス事業所、あるいは担当介護支援専門員が区分変更申請が必要か否かをこまめにチェックすれば認定期間なんて必要ないのである。

また申請者数が減って、認定審査会の回数が減っているにもかかわらず、相も変わらず認定遅れが生ずる最大の理由は「医師意見書」の提出遅れである。だが医師意見書が審査結果を左右するケースなんてほとんどない。審査に不必要な書類とさえ言ってよい。(参照:やっぱり医師意見書は必要ない?

つまり医師意見書を審査に必要としなければ、申請から認定にかかる期間は劇的に短縮できるのだ。

お金がかかるのに大した意味がない医師意見書・・・この廃止が議論の俎上に挙げられる必要があるのだと思う。

厚労省からそうした意見がまったく出ない理由は、医師会を恐れているということなんだろうか・・・そうであるとしたら厚労省は国民に向けるべき視線を失っているということになる。

まったく情けないことである。


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