介護職員募集広告をハローワークに出しても介護人材は集まらない時代である。
その為に、自社の公式サイトの一番目立つであろう場所に募集広告を載せることも当たり前に行われているが、介護事業者のサイトから募集広告を見て応募する人が果たしてどれだけいるだろうか?
見も知らぬ人がたまたまネットサーフィンして、介護事業者のサイトの募集広告にヒットするんてことに期待してはならない。そんな確率はほぼゼロに近いと思わねばならないのだから、その募集広告に応募するなんて言うことはあり得ないことである。それはハローワークを通じて募集をかけるよりさらに確率が低い方法だと思う。
そのことに気が付いている事業者は、盛んに有料のネット広告媒体に従業員募集広告を掲載し、応募が増えることを期待するが、実は求人媒体は広告主の成果にフォーカスしてはいない。
求人媒体がフォーカスするのは、求人媒体を通じて職を求める人なのだ。さらに言えば広告主が成果のない広告を載せ続ける方が収益になるのが求人媒体である。
求人媒体からしてみれば、広告主に就職した人が短期間で辞めてくれて、広告主が再度、再再度というふうに求人媒体に頼ってくれる方が良いのである・・・よってそこに頼っても永遠に人材不足は解消しないのは至極当たり前だといえる。
そのために、検索エンジンの検索結果にユーザーが検索したキーワード(検索語句)に連動して掲載されるリスティング広告の方が費用が抑えられて成果も高いとして、それを利用する事業者も増えている。
しかしそれによって応募が増えたとして、その応募者が本当に求められる人材として成長し定着してくれるだろうか・・・その部分のマッチングはまったく保証してくれないのがリスティング広告である。
そのため募集に応募が増えて採用人数が増えても、働いた途端に、「考えていた仕事と違う」・「自分が理想とする職場環境とは程遠い」という理由で短期間で辞めてしまう人も増え、結局人材は増えないという結果にしかなっていない介護事業者が多い。
そんなものに頼るのではなく、どんな資質の従業員を集めたいのかというところから、求人の方法を考えた方が良いと思う。
僕が欲する人材とは、介護事業を通じて他者の暮らしを支え、他者の役に立っているということを仕事のやりがいと感ずる人である。だからそういう人を集めようと考えた。
そのために僕のこのブログも、設置当時は自分の思いを書くだけの目的で始めたが、ある時期からは読者がいて、その多くが介護関係者であることを意識し、その中で僕の社福経営者(※当時)としての思いを理解し、その考え方に共感してくれる人が増えないかなという考えも取り入れて記事更新してきた。
その延長線上には、僕の考え方や経営方針に共鳴して、僕の経営する法人に所属したいと考える人が生まれることも期待したが、おかげさまで決して少ない人数でない方々が僕の経営方針に共鳴し、当該社会福祉法人に就職した。
その人たちが今やその法人で、後進を育てる人財となっているのである。
そんなふうに僕自身は社会福祉法人の総合施設長を務めていた当時、人材不足で頭を悩ましたことは一度もなかった。
(※ちなみに特養の看護・介護職員の配置人員は基準より多い対利用者比2:1を維持していた。)
お金をかけて人を集める方法は多々あるが、集まった人材が介護の仕事にやりがいを感じてよい仕事をし、定着するかは別問題なのだ。
理念のない介護事業者に求める良い人材は集まらない。理念を実現する方法論がないところに人材は定着しない。理念を実現する方法論に嘘がある職場から人は去っていく・・・そのことを決して忘れず、どんな人材を求めているのか、そういう人材はどういう職場を求めているのかという原点から人材マネジメントは考えられなければならないと思う。
結局、介護事業における優秀な人材は、利用者の暮らしの質を向上させる高品質サービスを目指し、それを実現する事業者に集まっていることを理解せねばならないと思う。
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