北海道では今月1日から主要都市で、バス料金の値上げとともに大幅なダイヤの減便が行なわれた・・・バス運転手の確保が難しく、今まで通りのダイヤ運航が困難となったからだ。
飲食業も従業員確保が困難となり、営業日を削ったり営業時間の短縮を余儀なくされている店舗が増えている。
そんなふうに全産業で労働力が不足している状態となっている。そのためもともと人材不足が叫ばれていた介護事業者は、今までにも増して人材確保が困難で、人材どころが人員確保もままならなくなっている事業者が少なくない。
そのため何とか人材を増やしたいと考える介護事業者は様々な媒体に介護職員募集の広告を出している。
そのような中で、僕の地元と言ってよい北海道室蘭市求人誌に載せられている某医療機関の介護福祉募集広告がたまたま目に入った。それが下の画像である。
この広告の中には、正職員の介護福祉士の業務内容が記されているが、このような業務内容で果たして応募者があるのかと首を傾げた・・・というのも介護職員という貴重な人材に担わせる業務の中に、「ベッドメイク・環境整備」が含まれているからだ。
数年前の話ならベッドメイクは、間違いなく介護職員が担うべき業務であったろう。
しかし介護人材が不足する中であっても、介護事業においては利用者対応は常におざなりにできない部分で、特に利用者の暮らしに深く介入し、直接利用者の身体に触れて介助するサービスは、適切に提供しなければならないところである。
だからこそ介護職員がその部分に十分な手間と時間をかけて、サービスの品質が低下しないようにするために、それ以外の行為についてはた職員や、他の方法に置き換えるべきである。
介護職員に代わってテクノロジーが代替できる部分はそうしていくべきであり、例えば生成AIを活用して介護職員の記録ゼロ化に取り組む介護事業者も増えている。
介護DXとしてそうした取り組みを行うことは不可欠な時代になっているのだ。
そうであれば「介護職がやるべきことを整理せずして生産性向上はあり得ない」でも指摘したように、直接利用者の体に触れる行為ではないベッドメイク・環境整備などは、介護職以外の職員に担当を振るべきではないのか。
大した専門性の必要がない業務に介護職員の業務時間を削るのはもったいないし、そんなことを介護職員にさせていたら、肝心の利用者の身体に直接触れて行う介護ができなくなってしまうか、その品質が著しく低下せざるを得ないのだ。
この部分の思考変換ができない介護事業者に人材は集まらない。よって事業継続は困難とならざるを得ない。
そうならないための思考回路の変更と、新しい取り組みが早急に求められているのだ。
地域ごとに介護人材は、他事業者との取り合い競争が激化しているのだ。地域の全事業者が必要な介護人材を確保できることにはならない。そうであるからこそ人材確保競争に勝つための新戦略が求めらえることを自覚しないとならない。
それをおざなりにする介護事業者は、廃業を現実的視野に入れざるを得ないだろう。
本記事に貼り付け画像の募集広告主の医療機関は、いまだにそうした発想がない理由は、介護福祉士をはじめとした介護職員を、看護職員と並ぶ重要な職種とは考えておらず、今だに介護職を看護職員が指揮命令する助手扱いしているということではないのだろうか。
そういう意味では、現にそこに勤めている介護職員は、できるだけ早く転職先を探したほうが良いのではないかとさえ思う。
※メディカルサポネットの連載、「菊地雅洋の波乱万丈選ばれる介護経営塾」の第12回配信記事、『介護のプロとして求められる思考回路』が12/2アップされました。文字リンクをクリックして参照ください。
※別ブログ「masaの血と骨と肉」もあります。お暇なときに覗きに来て下さい。
北海道介護福祉道場あかい花から介護・福祉情報掲示板(表板)に入ってください。
・「介護の誇り」は、こちらから送料無料で購入できます。
・masaの看取り介護指南本「看取りを支える介護実践〜命と向き合う現場から」(2019年1/20刊行)はこちらから送料無料で購入できます。
新刊「きみの介護に根拠はあるか〜本物の科学的介護とは」(2021年10月10日発売)をAmazonから取り寄せる方は、こちらをクリックしてください。