先週日曜日に投開票が行われた衆議院議員の総選挙では、自公政権が過半数割れした。

そのため今後の政局が気になるところだ。

一番の問題は、特別国会での首相の指名選挙を巡り、各党間の駆け引きや調整が進んでいる現在、新しい政権がどういう枠組みになるのか、現首相が本当に現職を続けられるのかということだろう。
第50回衆議院議員選挙2024
介護関係者にとっては、こうした政局が今後の介護政策に影響するのかどうかということが興味の的でもある。

来年から本格的議論が始まる次期介護保険制度改正には、今回の選挙結果や今後の政権確保に向けた動きが何か影響が出るのだろうか・・・。

しかし介護保険制度が始まって以降、政権は2度変わっている。その過去を思い出してほしい。

2009年(平成21年)は、自公政権である麻生内閣を倒して、非自民を中心とする民主党政権(鳩山由紀夫内閣)が誕生した。

しかしその民主党政権も、2012年(平成24年)の野田第3次改造内閣(民主党・国民新党連立)の際に、自公政権に敗れ第2次安倍内閣にとって代わられている。

その際に、その政局が介護保険制度や介護保険事業に大きな影響を与えたであろうか・・・実際には、そんな政局や政権交代とは関係ないところで、介護保険制度改正は淡々と進められてきたわけである。

総選挙の際に、介護職員の給与を月額8万円アップさせるといっていた野党が、政権を握った途端に、その公約がなかったかのように、まったく表立って口にしなくなり、それに向けた対策は全くとられなかったという過去も私たちは経験しているのである。

つまり政治と関係ない場所で、介護政策の重要な部分は動いているわけだ。その場所はどこかと言えば、日本の財政を一手に握っている財務省に他ならない。

しかも政局が激しく動いている最中は、政治家は権力闘争にエネルギーを費やさざるを得ないため、財務省が着々淡々と進めている制度改正に口を出す暇も力も持たなくなる。

連立政権もしくは閣外協力で政権を維持する際に、協力する政党数が多くなればなるほど、首相と内閣の力は削がれることになって、第2次安倍内閣の際の安倍首相のように、財務省と対峙して是々非々の態度で官僚と渡り合うなんてことはできなくなるわけである。

ということで次期介護保険制度改正も、次期介護報酬改定も、すべて財務官僚の掌の上で踊らされるというわけだ。

ではその財務省は次期制度改正にどのような態度を示しているだろう。

今年に入って以降の動きを見ても、給付抑制策はさらに拡大させる動きを見せている。

4/17の財政制度等審議会は、今年度の制度改正時に積み残した2割負担の対象者の拡大を早急に実現すべきだと指摘しているほか、自己負担割合の決定の際には所得だけでなく金融資産の多寡などを反映させる方策も検討することを示唆している。

2026年度末までに結論を出すとした居宅介護支援の自己負担導入や、訪問介護と通所介護の要介護1と2の対象者の地域支援事業化についても早急に実現することを提案している。

訪問介護や居宅介護支援の集合住宅に関する減算を拡充したり、頻回・高額な訪問看護を是正したりすることも重ねて提言しているし、サービス付き高齢者向け住宅で暮らす利用者へのサービスの適正化として、囲い込みのケアプランへの減算強化なども提言している。

テクノロジーの導入・活用の推進と人員配置の削減をセットとする対策については、現在配置基準緩和が行われている特養・老健・特定施設の夜間以外の時間帯の配置基準緩和とともに、通所介護などにもその緩和策を広げるべきであると主張している。

昨今の物価高に対応した政府支出による対応を求める声がることに対しても、「物価や賃金の伸びを給付に反映した場合、保険料率のますますの上昇につながり、現役世代の負担が更に増えることにも留意が必要」とクギを刺している。

こうした財務官僚の高い壁に、政治家がどれほど対抗しうるか、あるいは対応しようとするのかは極めて頼りない限りである。

どちらにしても混迷極まりない政局を見るのではなく、淡々と進行する介護保険部会など、国の審議会で示される考え方を精査しながら、それに対して介護サービスの実務者視点の声を挙げていくことが重要だろう。

さて僕は、この記事を仙台のホテルの一室で更新アップしている。

仙台滞在3日目の今日は、登別の自宅に帰る日で完全移動日である。急ぐ旅でもないのでチェックアウト時間までホテルの部屋にて連載原稿の執筆作業を続けながら、このブログ記事も書いていたところだ。

これから仙台駅の地下でランチを取ってから午後12時45分発の新幹線はやぶさで新函館北斗に向かう。自宅に到着するのは17:30過ぎの予定である。仙台でお愛した皆様、どうもありがとうございました。また逢う日を楽しみにしています。

ちなみに昨日は仙台の行きつけの店で一人呑みしている。その時のメニュー等は、「masaの地と骨と肉〜全日空が飛んだので、ANA Go、と言ってしまった。」に載せているので、そちらも参照願いたい。
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