介護保険制度が創設・施行されてから今年で24年目に入っている…すでに四半世紀近く制度は運用されているのである。

にもかかわらず未だに、この制度のルールの根幹部分が理解されていないと思うことがある。今日のこのブログ記事では、そのことについて指摘してみたい。

介護保険制度の法令ルール上の最大の誤解は居宅サービス計画の法的位置づけ問題だ。いわゆるケアプランがなぜ必要なのかという意味を理解していない関係者が少なからず存在しているのである。

介護関係者の中に介護サービスはケアプランがないと利用できない=保険給付サービスを利用するためにはケアプラン作成が必須だと考えている人がいる。

施設サービスの場合なら、それは正しい考え方であるといってよい。なぜなら介護保険法では、施設サービスとは、「施設サービス計画に基づいて行われる」と規定されているからだ。
介護保険法第8条27項介護老人福祉施設28項介護老人保健施設29項介護医療院

ところが同法第8条1項〜13項に規定されている居宅サービスには「居宅サービス計画に基づいて行われる」という文言はない。つまり居宅サービス計画書サービス提供及び保険給付の要件にはなっていないのである。

では居宅サービス計画書とは、何のために作成しなければならないのだろうか。その答えは介護保険法41条第6項に記されている。
介護保険法第41条6項
介護保険サービスの利用原則は償還払いであるが、それを現物給付化する要件がここに記されている。

そこでは現物給付化されるためには居宅要介護被保険者が指定居宅サービス事業者から指定居宅サービスを受けたときとされているものの、括弧書きの中で「当該居宅要介護被保険者が第46条第4項の規定により指定居宅介護支援を受けることにつきあらかじめ市町村に届け出ている場合であって、当該指定居宅サービスが当該指定居宅介護支援の対象となっている場合その他の厚生労働省令で定める場合に限る。」とされており、居宅サービス計画書の作成によって始めて現物給付化されると書かれているのだ。
その他の厚生労働省令で定める場合というのが、セルフプランも償還払いの要件となるという意味だろう。)

一方で施設サービスは48条4項で、現物給付化する要件は「要介護被保険者が、介護保険施設から指定施設サービス等を受けたとき」とされているだけで、施設サービス計画書の作成要件は記されていない。

このように居宅サービス計画書に限って言えば、保険給付の要件ではないわけである。ところが介護関連機関誌やインターネットの介護関連記事などには、堂々と介護保険サービスを利用する際には、ケアプランを作成する必要があるなどと書かれている。法令に沿わない思い込み情報が垂れ流されているのだ。

本来ならば、居宅サービス計画書については、次のように記さねばならない。

・要介護認定を受けた後、要介護者や家族は居宅介護支援事業所の介護支援専門員(ケアマネジャー)に依頼し、居宅介護サービス計画書(ケアプラン)を作成することが一般的です。ただしケアプランは利用者本人が作成することも可能です(セルフ プラン)。また介護サービス費の全額をサービス利用時に負担して、後に市町村から自己負担分を除いた費用を返還してもらうという償還払いサービスの場合はケアプランは必要ありません

以上である。この居宅サービス計画の目的と意味の誤解のほかに、もう一つ大きな誤解がある点を解説したかったが、長くなったので今日はここで終了したい。

続きは明日書くことにしたいと思う。(※その2に続く)
メディカルサポネットの連載、「菊地雅洋の波乱万丈!選ばれる介護経営」、第10回は利用者ニーズをどのように捉え、どう応えるべきかを考えるがテーマです。
菊地雅洋の選ばれる介護事業経営
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