僕は2003年から登別市の介護認定審査委員を務めており、4つある合議体の一つの副長に任命されているため、審査会の際は必ず議事進行役となる。(※正長と副長は交代で合議体に参加するため、一緒に審査することはなく、それぞれ進行役を担うことになっている)
というわけで、もう20年以上介護認定審査に関わっているので、審査基準をはじめとした様々な規則等についてはそれなりの知識は持っているし、認定審査会の在り方の歴史・変化も知る立場にある。
例えば、僕が認定審査委員に就任した当時は、審査会に参加する委員には、会議前にパックに入った助六寿司弁当が配られていた。
午後6時からの審議開始ということで、晩御飯代わりに出されていたものであるが、会議前にそれを食べたことはない。審議が終わって家に持ち帰って食べるのが常であったので、なくても良いものだと思っていたが、市の好意として受け取っていた。
しかし数年後に経費節約のために、その弁当は配られなくなった。市の予算・経費はすべて市民の税金によるものだから、このように必要性の薄いものにお金を掛けなくなったことは良いことだと思う。

登別市の認定審査会は4合議体で構成され、(お盆と年末年始を除いて)毎週木曜日が審査会の日である。その日は2合議体ずつ審査を行っているので、僕の合議体も隔週ごとに審査を行うことになる。だが前述したように正長と副長が交代で審議の進行役を務めるため、僕が審査に参加するのは4週に1回ペースである。(※他の委員も同様である。)
認定審査のピーク時には毎回35名を審査し、なおかつ審査が追いつかずに申請から30日以内に認定結果を出すことができないケースも出てくることが多かった。現在はその時より審査数も、認定遅れのケースも減っている。
介護認定申請者数は減っていないのだから、これは認定期間延長(※現在は最長48カ月)の影響だろう。
このように認定期間が長くなっても、要介護者の不利益はないと思う。なぜなら状態変化があった方については、更新認定を待たずに区分変更申請ができるからである。むしろ認定期間が延長され審査数が減って、認定遅れが出なくなることに繋がったのであれば、それは市民の利益ともいえ、良いことだと思っている。
例えば認定遅れの期間が長くなることによって、死後認定も増えるという問題がある。
介護更新認定の申請を行ったのに、審査が追いつかずに新しい介護状態区分が出ていない人であっても、施設に入所している人は継続してサービス利用しているわけであるし、居宅サービス利用者も、認定結果が出ていないからと言ってサービス利用できなければ暮らしに支障が出る方がいるため、暫定プランでサービス利用していることが多い。
そのような方々が認定審査が行われる前に亡くなられるケースは少なくない。
この場合でも死後認定は可能で、亡くなられるまでの間に認定調査が完了している場合は、主治医意見書の提出を受けた上で、認定手続きを継続できる。
ただしサービス利用が無く、認定の必要がなくなった場合は、申請を取下げていただくことになる。
だが亡くなられるまでの間に認定調査が完了していない場合は、審査判定に必要な資料が揃わないため、認定手続きを行うことができず申請が却下されてしまう。そのために介護更新認定申請前の認定期間が切れた以後のサービス利用は保険給付を受けることができず、全額自己負担になってしまう。
そうしたことがないように、認定調査だけはできるだけ速やかに行うようにしているようだが、認定調査員の数にも限りがあるので、認定申請の数が増えれば、調査も遅れがちになるため、死後認定が不可能なケースも出てくるかもしれない。
そういう意味でも認定期間延長は歓迎されるべき改正だったし、今後は、認定期間そのものが必要なく、新規認定以外はすべて変更申請によって認定をし直しても良いのではないかという議論があっても良いと思う。
どちらにしても要介護認定は全国共通の物差しでなければならないことは忘れてはならないと思う。その為、認定審査委員は介護認定のルールをしっかり把握しながら、認定調査員の特記事項を読み込んで、正しい認定結果を導き出す役割を果たさねばならない。
認定結果が、申請者の暮らしぶりに直結することを意識して、調査票の中から調査を受ける人の暮らしと個性を読み取る必要があると考え、審査会に臨んでいる。
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