先週、政権与党第1党の新しい総裁が選出され、明日10/1に国会で首班指名される予定となっている。
これによって日本の最高権力者が変わることになり、内角も改造され、厚労大臣も変わることになるわけだが、そのことが私たちが関係する介護事業等に何らかの影響を与えるだろうか。
勿論、一国の政治トップが変わるわけだから、政策も従前とまったく同じではなく、外交や金融・経済、防衛等の各政策には新首相の色が出されてくるだろう。しかし党内の政権基盤がぜい弱な新首相に、従前からの政策を劇的に変えるような影響力は発揮できないだろう。
そして私たちの暮らしの隅々まで、その政策の影響が及んでくるということはないと思う。実際に過去に首相が変わったからと言って、介護保険制度の流れが大きく変わったという事実はない。
そもそも新首相は、厚労行政に精通している方ではないだろう。社会福祉や社会保障は、専門書を読んで知識を得ている程度ではないかと思う。さして興味もないかもしれない。だから厚労行政が新首相に影響されることはないと思う。
厚労大臣に就任する予定となっているのは、佐賀県選出の衆議院議員・福岡資麿氏である。
初入閣で腕の見せ所といったところだろうが、同氏の経歴を見ると、厚労省の所管する分野とはかけ離れた活動履歴しないように見える。支援団体も全国たばこ販売政治連盟ということで、喫煙派の親玉といったところか・・・健康増進を図る厚労行政とは相反する場所に位置するようにも見えなくもない。
だが、禁煙を呼び掛ける厚労省官僚も、影ではヘビースモーカーという人が少なからず存在するので、このあたりはあまり気にかける必要はない。
年末の予算折衝を考えると、財務大臣に予定されている加藤勝信氏とは、旧茂木派で同じ釜の飯を食った仲ということで、意思が通じやすいかもしれない・・・勿論、同派閥であっても犬猿の仲という議員はたくさんいるが、政治家としての経験年数と年齢を考えても、福岡厚労大臣が加藤財務大臣に逆らうような関係性はなく、先輩として財務大臣の指導・指示を受ける立場ではないかと推察する。
どちらにしても初選出の厚労大臣は、厚労省官僚の掌(たなごころ)の中だろう・・・というか、そもそも永田町がどう変わろうと、霞が関という高い壁がある限り、この国の何かが劇的に変化するということはないわけである。(参照:霞が関の頭脳・永田町の権力)
ということで首相や内閣閣僚がどのように変わろうとも、来年から本格化する介護保険制度改正議論にも、再来年から始まる次期介護報酬改定議論にも、それはほとんど影響しないだろう。
衆議院が9日に解散され、来月27日に投開票予定という報道もされているが、そこで政権交代が起きる可能性もないだろうし、仮に交代があったとしても、何ほどの問題でもないように思う。
現に介護保険制度以後に、私たちは2度の政権交代を経験してきた。そこで何が変わったか・・・野党時代は介護重視・待遇の大幅改善を訴えていた政党が、与党になった途端に財政論を振りかざし、財務官僚の掌のなかでしか発言せず、何も変わらなかった過去がある。
それらの政治的変化の中で、私たちの暮らしぶりが大きく左右されることもなかったし、これからもそれはないだろう。少なくとも私たちの暮らしぶりが劇的に良くなることは決してない。
私たちはそれを踏まえたうえで、政治等の流れに関係なく、私たちが向かい合う介護サービス利用者や、その家族の日々の暮らしをより良いものにしていくという考え方と関わり方が求められていく。
その本質を決して失ってはならないと思う。
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