介護保険制度は2000年4月〜施行されている制度である。それは戦後初めて、日本の社会福祉制度が抜本改革されたという意味で、様々な変化をもたらした。
そうした措置から契約への変革時点で、いろいろなものが変わっていった。
それから4半世紀も経ていないが、短い過去を振り返ってみると様々な転換が見て取れる。だが制度創設までの社会の様残な動きや、制度創設以降の24年間に介護保険制度の様々なルールがどう変化してきたのかを知らない関係者も増えている。
それはそれで良いのかもしれないが、それらを知っておいて損はないだろうし、知っておくことで何かの時に役立つかもしれない・・・ということで雑学として、それらを知りたい方に今日の記事を読んでいただきたい。
介護保険制度において、居宅サービスとされているものは、それ以前は在宅サービスとされていた・・・この違いは何だろう。
前者は介護保険法、後者は老人福祉法の文言であり、介護保険法の所管は老健局、老人福祉法の所管は社会援護局である。
つまり厚労省内でも縦割りで、社会援護局で使っていた言葉を、新制度で所管が変わった法律で引き継いで使いたくない=老健局の方が力が強くなったんだぞという誇示であろう・・・要するにつまらない足の引っ張り合いの文言変更でしかない。
それとサービス種別の通称・・・なぜ通所介護はデイサービスで、通所リハビリがデイケアなのだろう。
通所をデイとしているのは共通だから、それは問題ないとして、普通に考えれば介護=ケアだから、通所介護をデイケアとすべきだと思わないだろうか。
実はこれも介護保険以前からの歴史と関連している。通所介護も通所リハビリも介護保険制度創設時に創られた言葉である。介護保険制度前は、通所介護・通所リハビリというサービス名は存在しなかったのだ。
だがデイサービスという言葉は、1979年(昭和54年)に生まれ、地域住民サービスとして行われていた。デイケアの誕生より先である。
しかもデイサービスは、それ以前に地域で暮らす人で、寝たきりなどのため居宅で入浴困難な人を、特養で入浴支援するという「入浴サービス」から派生したサービスなのである・・・入浴だけではなく、日中通って機能訓練や療養上の介護を行うとして、入浴サービスをデイサービスとしたものである。
だからデイサービスの後にできたデイケアは、他の言葉を探した結果、デイケアに落ち着いただけの話である。
そもそも介護保険制度の最初の原案では、訪問介護・通所介護・通所リハビリ・痴呆対応型共同生活介護(※現在は認知症対応型共同生活介護)という言葉ではなかった。
それはそれぞれ、ホームヘルプサービス・デイサービス・デイケア・グループホームと書かれていたの過ぎない。
それにイチャモンをつけたのが、当時の厚生大臣であった小泉純一郎だった。
「日本の法律なんだから、きちんと日本語を書け」として修正させたのが、現在使われているサービス種別名である。
さて介護保険制度開始後、最初に問題になって変更されたのは区分支給限度額である。
制度発足当初は、訪問・通所サービスと短期入所サービスのそれぞれについて限度額管理を行っていた。訪問・通所サービスの外枠に短期入所として使える日数が要介護度別に決められていたのである。
そこでは短期入所ニーズの高い人で、訪問・通所サービスをほとんど使わない人が、日数制限で十分なサービス利用ができないなどの問題が生じ、利用者の選択性・利便性の向上の観点から、現在のように区分支給限度額を一本化したものである。
ちなみに区分支給限度額は、2014年(平成26年)に消費税率引上げ(5%→8%)分に対応して上乗せされた以外は、制度発足当時のまま引き上げられていない。それはサービスの平均的な利用率は限度額に対して6割程度にとどまって推移しているからである。
消費税対応以外20年間以上限度額が変わらないということは、ケアマネジメントが有効に機能して、過剰サービスを抑制しているという意味にも思える。
さてそのような介護保険制度であるが、その誕生の経緯についても知ってほしいので、このブログではわかりやすくまとめている。
・介護保険・夜明けの雷鳴1
・介護保険・夜明けの雷鳴2
・介護保険制度へと続く道
・介護保険制度誕生前に吹き荒れた嵐
↑これらの記事もぜひ参照願いたい。そしてその歴史を読者から後進に伝えてほしいと願う。
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