僕は今、苫小牧市でこの記事を更新アップしている。
今日は札幌市の展示会場・アクセス札幌で講演を行うために自家用車で会場に向かう必要があり、その途中で休憩を兼ねたランチを摂りながら、飲食店内でこの記事を書き終えたところである。
今日は15時30分から60分間、「現場に丸投げしていませんか?生き残る介護事業者の人材育成システム」というテーマで、介護人材育成と定着に関連した講演を行う。
介護業界の人材難は益々深刻化しているが、その根本的解決策は存在しないといってよい。
そのため国の介護人材対策も、必要な人材を確保することは不可能であることを前提に、いかに人材難の負の影響を国民及び介護事業者に生じさせないようにするかという、よりましな対策しか行うことができないのが現状である。
そうであるからこそ、今日の講演で伝える人材育成システムを取り入れて、自前で介護職員を育て定着させることで、スキルの高い職員が、その経験値を基にした生産性向上を実現することが不可欠なのである。
介護人材難の深刻さは、我が国の国民の年齢構成からもその深刻さが見て取れる。
2025年度には団塊の世代全員が後期高齢者となり、そこから40年度にかけては、高齢者数そのものは大きく変化しないものの、「85歳以上の後期高齢者のシェア」が急拡大していくことがわかっているのだ。当然のことながら要介護高齢者も爆発的に増える。
しかし支え手となる現役世代人口は2025年度から2040年度にかけて急速に減少していくのである。
今後、外国人労働者が増えたとしても、その数は国内若年層の減少数をはるかに下回る数でしかなく、焼け石に水といったものにしかならないのである。
しかも現在外国人労働者の就業が認められていない訪問サービスについて、できるだけ早い時期に外国人労働者によるサービス提供ができるように準備が進められている。(※遅くとも来年度から解禁予定〜今年度中に解禁されるように準備が進められている)
このことは居宅サービスから見れば歓迎すべきことだろうが、施設サービスにとっては大変な問題でもある。
当然のことだが、このことによって施設サービスに従事する外国人は減るからだ。それだけではなく、現在施設で働いている外国人労働者が、様々な理由で訪問介護に転職するケースも少なからず出てくるだろう。
しかし訪問介護に従事できる外国人は、利用者と1対1で対応でき、コミュニケーションも十分取れ、自分一人で何事も判断できるというスキルの持ち主である・・・つまり施設サービスにおいても、戦力として十分なスキルを持つ人が、訪問介護人材として転職してしまう可能性が高いのである。
このことによって施設サービスは、ますます人材確保に困難を生ずることになるだろう。
そのため、すべての介護事業者が必要な人材を確保できる見込みがない中で、いかに人材不足に対応できる生産性の向上の実現を図るかも含めて、人材の育成と定着策を考えたいと思う。
なぜなら介護事業の生産性向上の最たる方法は、スキルの高い経験ある介護職員が、誰に対しても適切なケアを無駄なく行うことだからである。加えて紙ベースの記録をしなくて済むように、介護職員もICTも使いこなしていかないと仕事にならない時代になる。
逆に言えば、最新技術を使いこなせず、介護知識に欠け、拙い援助技術しか持たない介護職員が何人いたとしても、介護の生産性は低下の一途を辿るという理解が必要である・・・そうしないための対策を共に考えよう。
※メディカルサポネットの連載・〜菊地雅洋の波乱万丈!選ばれる介護経営〜Vol.9が9/16に更新アップされました。
今回のテーマは、「介護事業における虐待防止対策として必要な視点」です。張り付いた文字リンクをクリックして参照ください。
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