居宅介護支援事業所の介護支援専門員(以下、居宅ケアマネと略す)が居宅サービス計画書を作成する際に行うアセスメントとは、利用者が必要とするサービスを客観的に導き出すために行われるものだ。
つまりアセスメントとは、居宅サービス計画書に載せられる利用するサービスの必要性の根拠となり得るものである。
本来、その根拠を否定できる何ものも存在しないはずである。
しかしその根拠を真っ向から否定するかのように、各市町村ごとにケアプランチェック(適正化事業)が行われている。
そこでは利用者の状態像からは不必要と思われる過剰サービスをあぶり出して、居宅サービス計画の不適切さを指摘され、適正化という名のもとに、計画の修正が強要される・・・。
しかしそれらの指摘を受けたプランは、本当に不適切で過剰なサービスなのだろうか。
利用者が希望しないのに、居宅ケアマネの所属法人のサービスを過剰に提供していることが明らかなケース・・・機械的に区分支給限度額いっぱいまでサービスを組み入れるプランなどは、不適切と指摘されても仕方がないが、利用者が望んだために組み込んだサービスはどうだろうか・・・。
それをニーズではなく単なるデマンドであると決めつけて削り取る権利が保険者にあるのだろうか。
介護保険料を支払い、利用者一部負担金を支払っている利用者に対し、区分支給限度額内のサービス利用を放棄させる法的根拠はどこにあるのだろうか・・・。
そもそもケアプランの内容に関係なく、保険者が勝手に制限ルールを決めて当てはめている事例もある。例えばケアプラン適正化という名の権利侵害を許すなという記事の中で紹介した保険者は、週2回を超える入浴支援を居宅サービス計画に組み入れることは過剰サービスであるとして不可としている。
利用者の身体状況や生活習慣を無視した、こうした根拠のない制限がローカルルールとしてまかり通っているのも、ケアプランチェックを通して、権力をふるうことに酔った輩が生まれる結果だろう。江戸時代の「お代官様」になった気分の役人がそこかしこに存在しているのだ。
居宅ケアマネが、こうした度を超えた制限ルールに対抗する手段は、たった一つしかない。
それはそうした制限を行っている市町村ではない、他の市町村の居宅介護支援事業所に転職することである。
だがこうしてケアマネの転出が相次ぐ市町村では、ケアマネ不足も深刻化し、居宅サービス計画を立ててくれるケアマネが見つからない、「ケアマネ難民」が生まれるだろう。
この場合、セルフプランの作成が不可能な住民に対しては、市町村が変わって居宅サービス計画を立てなければならないことを、保険者は理解しているのだろうか・・・そしてそういう能力や余力が、保険者にあるのだろうか。だがそれも保険者の自己責任である。
どちらにしても、制限ルールに辟易(へきえき)している居宅ケアマネは、機会があるならば制限のない他市町村の所属事業所に転職することもありだ。
そうした決断をためらう必要はないだろう。
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