多種多様な価値観を持つ人間が、様々な形で介護の仕事に携わっている。

携わり方も様々で、介護職員は利用者に直接手を触れ、身体介護や生活援助といった直接的な支援に関わる仕事をしており、利用者のプライベートな空間に深く介入し、利用者にとって他人に見せたくない恥ずかしい部分にも踏み込んでいく必要がある。

一方で、介護サービス利用者とは間接的な関りしか持たない職種もある。例えば利用者と直接触れ合う機会が少ない経営者や事務職員もそうした職種であるが、介護関係者であることに変わりはない。

だがどのような職種であっても、利用者に介護という目に見えないサービスを売る仕事であることに変わりはないわけで、素人がボランティアで介護をしているのとは異なり、プロとしてお客様に対して適切に関わるという姿勢は不可欠である。

介護職員を縁の下で支える事務職員も、お客様に対して誰よりも丁寧に接し、介護職員の手本となるような接客に努めてほしい。

介護職員は接客の最前線に立つ者としての自覚をもって、介護支援を受けている人は、単なるユーザー(利用者)ではなく、お客様であることを忘れないでほしい。

価値観は人さまざまだからと言って、その価値観を唯一の拠り所にして、各自が勝手に利用者に関わって良いわけがない。介護=対人援助サービスであるという職業倫理をしっかり持って、道義上の責任を果たすこと、所属事業者の労務規定をはじめとしたルールを遵守することは当たり前である。

何よりも、他者のプライベートな空間に踏み込んで、利用者の羞恥心に触れる介入をせざるを得ない介護という仕事では、何より人として、人の道に外れるような対応をしないという心構えが必要になる。
就実の丘
介護を職業にしている人のすべてが、もともと介護に関連した仕事をしたいという動機づけを持っていたわけではない。たまたま自分が配属された部署が介護関連であったという方も少なくないし、介護と関係のない仕事を辞め、たまたま転職して就いた仕事が介護職であったという人もいるのだ。

だからと言って、それが問題だとか、悪いということはない。介護の職業に就こうとする動機なんて何でも良いのである。

問題はどのような動機づけで介護という職業を選んだとしても、その職業に就いた以上、その職業でお金を稼ぐプロとして道義的責任を帯びるということをしっかり理解して、介護のプロとしての知識や技術、対応姿勢を身に着けなければならないだけの話である。

プロとして利用者に接する以上、家族と同じ姿勢で介護を行うのでは困るということを知らねばならない。介護を受ける人に対して、家族のように遠慮ない=配慮に欠ける対応を行って問題がないなどという誤解をしてはならない・・・それはフレンドリーな良い介護ではなく、お客様に対しては無礼極まりない態度であることを理解せねばならない。

丁寧に接客できる介護とは、決して良い介護ではなく、極めて当たり前の介護なのだ。それさえできていない介護事業者が多いという恥ずべき文化を持っているのが日本の介護の実情でもある。

学生であっても、コンビニエンスストアでアルバイトをする人は、雇用主や先輩に教わらなくとも、顧客に対し丁寧な言葉で対応するのが当たり前と思っている。そうであるにもかかわらず、介護や医療サービスに限って、顧客であるサービス利用者や患者に対して丁寧な言葉で接することを否定し、タメ口対応が許される(あるいは、それが好ましい対応だ)と思っている勘違いをなくさねばならない。

介護サービスを利用する人に対するタメ口対応が直せない人は、コンビニでアルバイトしている学生以下のスキルであると考えてほしい。

お客様にタメ口対応しかできないその姿は、社会人として巣立っていない学生アルバイトより民度も低く、恥ずかしい姿であると自覚してほしい。

そう思えない人は、人と接することがない他の仕事を探すべきである。
ケアテック札幌
アクセス札幌で開催されるCareTEX札幌’24の会場で、9月18日(木)15:30〜「現場に丸投げしていませんか?生き残る介護事業者の人材育成システム」というテーマで60分講演を行います。こちらからダウンロードできる招待券を印刷して会場にお持ちいただければ、入場料無料となりますので、どうぞ会場にお越しください。


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