僕は比較的寝つきが良い方で、場所も環境も選ばずに、夜布団に横たわるとあっという間に眠ることができる・・・仕事柄、旅が多く全国各地のホテル・旅館に宿泊する機会も多いが、枕が合わずに眠れないということはまずない。
しかし眠りの質は、年とともに落ちてきている実感がある。年々深い眠りの状態が続かなくなり、朝はどんどん目覚める時間が早くなっている・・・時として夜明け前に目が覚めてしまい、それからまったく眠れなくなる時もある。
こんなふうに年を取ると眠るということが簡単ではないことがわかってくる。
高齢者が不眠になりがちなのは、加齢による身体能力低下に伴って睡眠の質が落ちることが原因であり、健康な高齢者でも睡眠が浅くなるケースは少なくない。
健康で毎日運動もしている僕でさえもそのような状態なのだから、身体に障害があり、歩行ができないなどで、運動機会が少ない要介護高齢者の方々ならば尚更、眠ることに困難を生ずる人は多いのだろうと想像つく。
こうした不眠は高齢者の体・心・脳機能に大きな影響を与えると言われており、注意や対策が必要だ。
だからこそ施設サービス計画及び居宅サービス計画を作成するためのアセスメント標準項目にも、「生活リズム」として、「睡眠の状況(リズム、睡眠の状況 (中途覚醒、昼夜逆転等)等)に関する項目」が含まれている。
施設及び居宅ケアマネの皆さんは、この確認をしっかり行って、睡眠支援をケアプラン第2表にしっかりと落としてほしい。
眠りの質の低下の典型例は浅い眠りが増えることだと云われている・・・加齢による体内時計の変化や血圧・体温・ホルモン分泌などの影響で早寝早起きになり、深い眠りの時間が減るのである。
浅い眠りの時間が増えると、ちょっとした尿意・物音によって目が覚めてしまうことが度々起きるようになる。そうして目が覚めた後に、再び眠りにつけないことも少なくない。
こうした状態が頻繁に起きると、身体の不調につながっていく。さらに睡眠不足によって気分が落ち込むと、うつ病を発症するリスクが高まる。
ある統計によると、不眠によって、うつ病・高血圧になる可能性は2倍、糖尿病になる可能性は2〜3倍ほどになると言われているのである。
それを防ぐために、眠りの質をアセスメントして、対策を講ずることは重要だ。その対策は簡単ではないが、多角的な側面からアプローチすることを忘れないでほしい。
日中は外で体調の光をあび、日中の活動量を増やすことで生活にメリハリをつけることが大事になる。運動量が少なくなりがちの障害を持った方でも、日中の活動量を増やして適度に疲れを感ずる日常生活作りが重要になる。
眠剤を服用することで睡眠の質を保つことができるケースも少なくないので、医師に相談することも重要になる。
看取り介護対象者の方は、夜暗い中で目覚めることで、不安や寂しさを訴える方が多いので、看取り介護だからという理由で、日中でも遮光カーテンで窓を閉ざし、1日中部屋を暗くしている状態は不適切だ。
看取り介護対象者の方は、徐々に身体活動も精神活動も低下していくが、それでも日中に日光を部屋に入れて明るくし、周囲の人々が声を掛けて、心身が活性化できる環境をつくりだすことは大事である。
どちらにしても年をとれば眠ることが難しくなることを考慮に入れて、適切な入眠支援に心掛けることも、対人援助のプロとして求められるスキルである。
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