早いもので暦は既に9月に変わっている。この時期は新年度からちょうど6カ月目の月となり、9月末が年度のちょうど半分の終了点となる。
新年度のスタートとなった4月に、新人職員が複数入職した職場も多いと思うが、それらの人々は今現在元気に働き続けているだろうか。離職者は出ていないだろうか。
介護事業者の場合、新入職員の扱いも様々である。入職初日からOJTと称して、基礎知識も与えないまま介護実務の場に新人を放り出すところも少なくない。しかもそういう職場にかぎっては、指導方法を教えられていない先輩職員に教育を丸投げしているという傾向が見られる。
一方で基礎研修を半年間かけて行い、実質的な利用者対応は9/1から始めるという社会福祉法人もある。(※僕が知る限り入職後研修の最長期間をとっているのがその法人である)
当然のことながら、前者のような職場の離職者は多くなるし、メンタルヘルス不調を訴える従業員も多くなる傾向がある。
後者のように半年もの教育期間をとらなくとも、OJTに入る前の座学での教育・訓練を十分に施して基盤作りをしている職場は、従業員の定着率も高くなるし、メンタルヘルス不調を訴える従業員も出にくくなる。
とはいっても例外も数多い。離職者が出ている介護事業者がすべて問題がある職場というわけでもない。
採用面接で適性を完全に見抜くなんてことは不可能なわけだから、採用後、この時期までの間に介護の仕事に向かないと分かった人を雇い止めにするという判断はあってよい。そうした形で離職者が出ることはやむを得ないことだ。
そうではなく人間関係をはじめとした職場環境や教育・訓練システムの在り方の問題で退職者が出ている場合が問題なのである。
そういう意味で、現時点で退職者が出ている職場は、その原因を検証しなければならない。後者のような原因があるならば、早速改善に努めなければ、いつまでも人材不足は解消しないばかりか、今後ますますその状態は悪化の一途を辿り、事業経営ができなくなる可能性も高まる。
なぜならば、介護人材不足が益々深刻化する介護業界では、この問題を放置して定着率が向上しないことが一番の経営リスクだからである。そういう意味では、給与を上げて人が集まっても、定着できない根本原因が解消できない限り、介護事業者に明日はないといってよい。
入職後、半年を目途に面談を行って、新人らのメンタルヘルス状態を確認することも大事だ。
メンタルヘルス不調に陥る人は、自らその不調を訴えられない人、自ら不調に気づかない人が多いのである。だからこそいつもと違う状態=口数は減る・表情が乏しくなる・遅刻が増えるなどの異変を察知する必要があるのだ。個人面談はその確認のための最も有効な手段となり得る。
せっかくの貴重な人材をメンタルヘルス不調に陥らせてリタイヤさせるのは大きな損失だ。仕事が原因でうつ病を発症して人の多くは、その仕事に戻れなくなるという事実を忘れてはならない・・・その手前で兆候を見つけたときに対応すれば、一定期間の休養とカウンセリングによって職場復帰して、元気に働き続けることができる人も多いのである。
そのため新年度のスタートから半年目に当たる今、秋風が吹く頃にあわせて、人事担当者は4月以降に入職した職員の勤務状況を調査することをルーティンワークに組み込んでおかねばならない。
これができているかどうかで、今後の人材確保に大きな差が出てくるだろう。
その問題に関連して、9月18日(木)15:30〜アクセス札幌で、「現場に丸投げしていませんか?生き残る介護事業者の人材育成システム」というテーマで60分講演を行う予定になっている。
CareTEX札幌’24の会場で行う講演であるが、こちらからダウンロードできる招待券を印刷して会場にお持ちいただければ、通常の招待券と同様に、入場料無料となる。
是非DLして事前登録したうえで、会場にお越しいただきたい。2週間後にアクセス札幌の講演会場で愛ましょう。
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