人間の行動は無意識に支配される部分が多い。
意識していないけれど、日ごろもっている価値観に支配されて、行動がその考えに基づいた方向に流れてしまうということが多いのだ。
対人援助という職業では、このことを踏まえて無意識に良心が働き、その良心に基づいた行動をとることができるような教育・訓練が不可欠だ。
何も考えなくとも、利用者に対して良心的な関りを持つことができる従業員が多くなれば、それだけサービスの品質は向上するし、不適切な対応を少なくする効果も見込むことができる。
そうした無意識の領域を適切介護に結びつける最強アイテムがサービスマナー教育である。介護サービス利用者は顧客であるという意識をもって、サービスマナーに欠けた対応をしないという意識作りが求められるのである。
そうした意識作りは、単にコンプライアンスとして求められるというだけではない。介護事業者の道義的責任を果たす意味に留まらず、介護事業経営のリスクマネジメントを高めて、介護事業そのものを護る効果も期待できる。
そういう意味では、経営上も大きな利点も生み出すことができることを理解しなければならない。
サービスマナー意識が向上すれば、ヒューマンエラーによる介護事故に対する抑止効果も格段に上がるのである。
先日8/16に更新アップした記事で伝えた通り、入浴介助の際、浴槽内温度を確認せずに熱湯風呂に利用者を入れ、死亡させるという信じられない事故が起こってる。
しかも熱湯風呂に入浴させる事故は、過去にも同じように起こっていることも指摘した。
利用者を熱湯風呂で死傷させるいう事故は、介護職員として基本中の基本である湯温の確認を怠るという信じがたい理由で引き起こされたものである。こうした基本介護ができないそもそもの原因は、利用者が顧客であるという意識づけをせず、お客様に対してマナーをもって接し、そのことがホスピタリティ精神のあるサービスにつながるという教育をしていないからではないだろうか。
なぜなら、こうした事故が1度きりのみならず、(明らかになっただけで)2度も起こっているということは、基本介護を徹底せよという注意のみでは防ぎ難いということが云えるからである。
今後再びこのような事故を起こさないためには、基本介護の徹底教育・注意喚起に加えて、無意識に湯温確認を実施できる価値観を植え付ける必要があるのではないだろうか。
利用者はお客様であるという意識は、お客様に接する際に、サービス提供者として当然護るべき態度があるという意識を生み出す。サービスマナーをもってお客様に接する習慣がついたならば、そこからさらに向上心が生まれる。その向上心とは、お客様にもっと喜んでサービス利用していただきたいという気持ちである。そこから生まれるものは、おもてなしの心=ホスピタリティ意識である。
サービス利用者に対するホスピタリティ意識を持つ介護職員であれば、入浴介助に際して、お客様を湯船に入れようとしたとき、その方にとって心地よい湯温となっているかの確認を怠るということはなくなる。むしろ無意識に湯船に手を伸ばして、湯温を確認したうえで、お客様を湯船に誘導するだろう。
このようにサービスマナー教育は、ヒューマンエラーを防ぐためにも必要とされるのである。
ただしその為の教育は簡単ではない。世にサービスマナー講師は数いれど、タメ口を親しみやすい言葉遣いと勘違いしている介護事業におけるサービスマナーを語れる講師は非常に少ないからである。
そういう意味では僕は、介護事業の実態を知悉しながら、その欠陥を指摘し変えなければならない要点を伝えることができる。介護事業におけるサービスマナーというテーマで、講演を行うことができる数少ない講師の一人である。
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※メディカルサポネットの連載〜菊地雅洋の波乱万丈!選ばれる介護経営〜の最新記事Vol.8の最新記事は、「介護職員の離職防止対策について」がテーマで、8/22更新アップされています。どうぞご参照ください。
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